SQiPさまざまな取り組みから得られた成果を一般公開しています。
ソフトウェア品質管理にお役立てください。

品質保証活動をアジャイルプロセスに溶け込ませるためのテスト活動の再構築と、それを支えるアジャイル・エンジニアリングの活用

ソフトウェア品質シンポジウム2024(2024年)

本稿では「品質保証活動をきちんと行おうとすると開発開始からリリースまでのリードタイムが長くなるが、テスト実行の自動化だけでは解決しきれないような組織」がどのように取り組むとよいかを提案する。
開発がウォーターフォールからアジャイルにシフトしていく中で、品質保証をどのように変化させていくとよいか悩む組織は多いことと推察する。
具体的には、以下の2点が課題になる。
・テスト実行がボトルネックになる
・アジャイルのスピード感に追随するために導入した自動テストの施策が効果を発揮しない
これらの現象は、テスト活動の中でも目に見えやすい「テスト実行」にフォーカスしすぎていることで発生している。課題1,2の現象そのものではなく、その根本にある「テストプロセス全体ではなくテスト実行にフォーカスしすぎていること」が本質的に解決すべき課題であると考える。
本稿では、アジャイルのプラクティスに、テスト実行だけではなくテストプロセス全体を織り込んでいくためのプロセスモデルを提案し、その具体例を紹介する。このモデルの適用は、テストや品質保証の活動を、単なるフェーズゲートからチーム全体で行うタイムリーな活動に変容させる。結果として、アジャイルのスピード感を損なわずに品質を維持することができるようになる。
アジャイル開発におけるテスト活動として目指すべき方向性を提示し、アジャイル開発への適応を目指す組織へのヒントを示唆する。