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早期リスク発見によるプロジェクト成功率向上

ソフトウェア品質シンポジウム2023(2023年)

プロジェクトリリース後に重大なシステム障害が発生した。
既存のプロジェクトフェーズ毎のレビューでは、担当者が分かっている範囲を記載したドキュメントをベースにしていたため、事前に障害を予想することは困難であった。
複雑化するシステムプロジェクトを遂行する上で、担当者が予測できなかったり認識できなかったりするリスクを早期に発見し、障害を未然防止する必要があることを認識した。
そのため、従来型のドキュメントレビューは廃止した。かわりに、プロジェクトの構想段階でオープンな場でフラットに議論する場(Assurance and Advisory Board 以下AAB)を設けることにより、リスクを早期に洗い出す体制とした。 AABはあえて固定したメンバーやチェックリストは用いず、過去の失敗や成功経験をもちより、コスト、運用、セキュリティ、ビジネスケースの成立、関連システムへの影響など複数の観点で議論をし、リスクを発見する。発見したリスクはプロジェクトで管理し、フェーズごとにリスク対応状況と残存リスクをモニタリングしている。
この結果、2022年度のプロジェクト成功率(ユーザー影響障害ゼロ、コスト着地±8%、最終的に合意したサービスイン期日遅延なし、最終的に合意したスコープ変更なし)は目標値95%に対し100%となり、システムリリース後の障害を抑止できている。また、リスクを常に意識することで、予測が難しい複雑なプロジェクトに対応できる組織体制が確立できた。