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物理解析ソフトウェアのテスト手法の検討- Search-based testing およびMetamorphic testing によるアプローチ -

ソフトウェア品質シンポジウム2022 2022年度SQiP研究会 研究コース5「人工知能とソフトウェア品質」(2022年)

近年,製造業におけるものづくりの現場では,物理シミュレーションの活用が進んでいる.ここで用いられる汎用的な物理解析ソフトウェアの開発に伴うシステムテストでは,次に述べる点において従来のテスト手法によるアプローチが困難であり,品質保証上の課題となっている.
・解析対象の物体形状がその機能動作に影響を与えるため,物体形状をテスト入力として考慮する必要がある.しかし,多様かつ複雑な物体形状を同値分割し境界値分析を行うことは現実的ではない.このため,有効なテスト入力を外部仕様から導出することが困難である.
・物理シミュレーションの結果は物理方程式とその入力によって一意に定められるべきものであるが,この物理方程式は多次元多変数の微分方程式から成り,ソフトウェアを用いることなく解析結果を定量的に求めることは一般的には不可能である.このため,テスト入力に対するテストオラクルを定めることができない.
本取組みでは,物理解析ソフトウェアのシステムテストが抱えるこれらの課題に対処するため,近年AIシステムのテスト手法としても利用されている Search-based testing (SBT) やMetamorphic testing (MT) の適用を検討し,ケーススタディを通じて評価を行った.結果として,SBT は物体形状に依存する機能のテスト手法として,MT はテストオラクルの導出が困難な解析機能のテスト手法として,それぞれ有効・有用であることを確認した.
本発表ではこの手法と結果について報告する.