SQiPさまざまな取り組みから得られた成果を一般公開しています。
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プラットフォーム構築プロジェクトを対象とした品質管理指標の分析

ソフトウェア品質シンポジウム2021(2021年)

本取り組みでは、プラットフォーム構築プロジェクトの品質管理指標を組織内で確立することを目的として、複数年にわたる878件のプロジェクト実績データを分析した結果を報告する。分析の結果、マスターOSのラインセンス数を規模相当メトリクスとし、これを用いて工数やバグ数などを正規化した品質管理指標は、複数年にわたって大きな変動がなく、安定的に利用できる指標であることが確認された。また、マスターOSのライセンス数をサーバとクライアントに分けて集計したものをそれぞれ説明変数とし、プロジェクトの実績工数を目的変数とした重回帰分析を114件のデータからなるセグメントに対して行った結果、既存研究と比べて同等程度の予測精度を得ることができた。
ソフトウェア開発プロジェクトを対象とした工数見積りや品質管理への定量的アプローチの適用と実践は数多く報告されているが、プラットフォーム構築プロジェクトを対象としたものは少ない。これは、プラットフォーム構築において、ソフトウェア開発における「開発規模」と同等のメトリクスが確立しておらず、品質管理指標の設定や工数見積りが困難であることが一因になっているものと考えられる。本報告が、プラットフォーム構築プロジェクトの定量的品質マネジメントを模索している方々の参考になれば幸いである。