SQiPさまざまな取り組みから得られた成果を一般公開しています。
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プロジェクト品質特性の優先度導出と最適なテーラリングへ導くQCコンパスの提案

ソフトウェア品質管理研究会 研究コース1(2024年)

主査:

田中 桂三

副主査:

中森 博晃
ソフトウェア開発プロジェクトでは,開発規模や分野(業務用アプリ,モバイルアプリ,組み込みシステム,Webサービス等),技術要件の多様性により,既存の品質管理手法をそのまま適用することが難しい.この問題を解決するために本研究では,プロジェクト特性を体系的に分析し,それに基づいてSQuaRE[1]を用いて各品質特性の優先度を導出し,既存の概念「品質ボックス[2]」を活用した最適な品質管理手法を選定するフレームワーク「Quality-Characteristicsコンパス(QCコンパス)」を提案する.
実プロジェクトで有効性を確認した結果,(1)プロジェクト品質方針に基づく品質特性の優先度明確化で,ステークホルダー間の合意形成の促進および調整の負担軽減.(2)品質管理手法のテーラリングにより,一部のプロジェクトでリスク管理に有効,品質向上とコスト削減を同時に達成できる可能性が示唆された.一方で,テーラリングには品質特性以外の要素の考慮や,利用者への教育とトレーニング等が必要であることも明らかになった.本研究で得られた成果と課題を踏まえ,今後はQCコンパスのさらなる具体化と,より広範囲なプロジェクトへの適用を目指す.