プロセスは定着していますかPart3~不具合事象に基づく標準プロセスへのフィードバック手法の提案~
ソフトウェア品質管理研究会 第1分科会「ソフトウェアプロセス評価・改善」(2010年)
執筆者:
坂部 誠之(シーイーシー) 、宮川 研二(ダイキン情報システム) 、宮迫 久浩(リンクレア) 、小渕 一幸(セイコーエプソン) 、有賀 一輝(イクズアネックス) 、田渕 一成(ビジネスキューブ・アンド・パートナーズ) 、相澤 武(インテック) 、野口 和馬(伊藤忠テクノソリューションズ)主査:
三浦 邦彦(矢崎総業)
プロセスを定着させる重要なポイントとして、継続的な改善がありますが、ここでは、継続的改善を具体的に行う手法/手順を提案しています。原因分析シート、不遵守原因リスト、対策分析シートを用いた方法は、具体的で説得力があり、ここで提案された方法を各所で実践されることをお薦めします。
概要:
プロセス改善の必要性を論じる上で、その効果を明確に示すことが非常に重要となる。また、プロセスに基づいたプロジェクト運営に携わるプロジェクトメンバーにとって、個々のプロセスの必要性を十分に理解しているかどうかが、プロセス実施の効果に大きな影響を与える。つまり、必要性を理解できないプロセスからは十分な効果を得られない。一方で、プロセスの定義や改善に携わるEPG(Engineering Process Group)の立場で考えると、プロジェクト側で抱えるプロダクトそのものの品質に対して、『プロセス改善にどのような効果を期待するのか』を明確に理解した上で改善を実施する必要がある。改善の本来の目的は、プロセスの品質を向上させることだけではなく、プロダクト品質を保つための基盤を築くことである。
本研究では、まずプロセス品質とプロダクト品質の相関に着目し、プロジェクト側で発生する不具合事象に対して、プロセス視点での真因を分析することで、プロセスの改善箇所を導き出す手法を定義した。次に、EPGとプロジェクトの現場との協調によって適切なフィードバックを確立できる仕組みを提案した。