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短納期でかつ小規模な開発プロジェクトにおけるテスト分析・設計導入による有効性の検証

ソフトウェア品質管理研究会 研究コース4「ソフトウェアテスト」(2017年)

ソフトウェアテストの現場ではコスト制約と納期に迫られるなか、良さそうと分かっていながらテスト分析・設計を行うことができない現状がある。そこで、本研究では、そのような短納期でかつ小規模な開発プロジェクトに対して、テスト分析・設計の有効性の検証を行った。
その結果、小規模・短納期プロジェクトのテストにおいても、テスト分析・設計を行う効果を確信することができている。
これは、当然の結果ではあるが、多くの組織で未だテスト分析・設計の導入をためらっている現状において、背中を後押しする有用な論文である。

概要:

短納期でかつ小規模な開発プロジェクトでは,たとえ,関心があったとしても,テスト分析・設計の手法を導入することに抵抗が大きい.なぜなら,それらの手法の導入によって想定外の工数が発生し,プロジェクトの納期が守れなくなるのではないかという不安があるためである.
本研究では,短納期でかつ小規模な開発プロジェクトにおけるテスト分析・設計の導入促進を目的として,テスト分析・設計の有効性を検証する.テスト分析・設計の効果把握の手段としては,HAYST法のテストプロセスを用いた.
テスト分析・設計の有無によって,テスト工数やテストケース数に差が出るかの検証を行った.その結果,テスト分析・設計を行うことでテストの全体工数は増加するものの,テスト担当者ごとの工数ばらつきは減少し,かつ,テスト漏れを防ぐことができることが判明した.テスト分析・設計の有効性の効果を明らかにしたことで,短納期でかつ小規模な開発プロジェクトにおける導入促進が行いやすくなる.