派生開発におけるテスト分析手法の提案- ラルフチャートを用い,変更前後の差分に着目するテスト分析 -
ソフトウェア品質管理研究会 第5分科会「ソフトウェアテスト」(2016年)
副主査:
喜多 義弘(東京工科大学)
派生開発時のテストでは、変更の影響範囲を考慮しテスト観点の抜け漏れを抑えるテスト要求分析が重要です。
本論文ではHAYST法の「ラルフチャート」を派生開発の前後で作成し両者を比較することで「変更の影響範囲を考慮したテスト観点を導出する」というテスト分析手法を研究したものです。
本論文ではHAYST法の「ラルフチャート」を派生開発の前後で作成し両者を比較することで「変更の影響範囲を考慮したテスト観点を導出する」というテスト分析手法を研究したものです。
概要:
派生開発のソフトウェア製品/システムに対するテストでは,変更の影響範囲を考慮しテスト観点の抜け漏れを抑えるテスト分析が大きな課題である.我々は,派生開発において,変更の前後のラルフチャート(Ralph's chart)を作成し,両者を比較することで変更の影響範囲を考慮したテスト観点を導出するというテスト分析手法を提案する.ラルフチャートは,比較的短時間で作成することができる,表現が視覚的でテスト対象の目的機能全体を把握しやすい,ノイズや状態変数を書くことで因子の導出漏れが発見できる,という長所を持つ.ラルフチャートを応用したこの手法は,短時間で習得でき,影響範囲を考慮したテスト分析を行い,テスト観点の検討漏れを防ぐことができる.少数の事例での実験ではあるが,派生開発のテスト分析に活用可能との見通しを得た.