レビューア向け思考能力トレーニング法の提案- 仮説力と要約力で,重大欠陥の検出効率向上 -
ソフトウェア品質管理研究会 第3分科会「ソフトウェアレビュー」(2016年)
主査:
中谷 一樹(TIS株式会社)
レビューアには、様々な能力が求められるが、その中でも特に重要な能力とは何か、そしてその能力を向上するための良いトレーニング方法は無いか。
本論文では、重大欠陥を素早く検出するために特に重要となる能力のトレーニング方法を考案している。
新聞の社説を用いたシンプルかつ短時間で取り組める内容のため誰でもすぐに実践でき、効果も期待できそうなので、自分もやってみようと思える内容になっている。
本論文では、重大欠陥を素早く検出するために特に重要となる能力のトレーニング方法を考案している。
新聞の社説を用いたシンプルかつ短時間で取り組める内容のため誰でもすぐに実践でき、効果も期待できそうなので、自分もやってみようと思える内容になっている。
概要:
レビューアは,過去に遭遇した欠陥とその混入原因など欠陥に関する情報を記憶している.特に重大欠陥の場合は,欠陥潜伏の兆候とも言える周辺の特徴的だった事柄も含めて記憶している.しかし,時間制約の中でレビューを実施する必要があり,レビュー対象のプロジェクトやドメインが異なると,同様の兆候があったとしても見逃すことがある.そこで我々は,限られた時間の中でも効率的に重大欠陥を検出できるようにするためのレビューア向け思考能力トレーニング法を考案した.新聞の社説を用いて,仮説力と要約力を鍛えることで,効率良くレビュー対象の全体像を把握し,重大欠陥混入の兆候を捉え,過去の情報から類推し,欠陥混入の仮説を立てて,効率的に重大欠陥を検出できるようにすることを狙ったものである.
実験として,このトレーニングを1週間11名に実施したところ,仮説力と要約力の向上が見られ,重大欠陥の検出効率が向上することも確認できた.