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XDDPの変更設計書から間接リソース変化点を抽出する手法

ソフトウェア品質管理研究会 第6分科会「派生開発」(2013年)

派生開発で常に悩まされる問題は、変更に伴って予想外のバグが発生することである。
そのための「気付き」の工夫は、これまでも「派生開発」の分科会でもテーマに取り上げられてきた。「DRBFM」の視点を取り入れて「品質」への支障を取り上げる研究も行われているが、それでは範囲が広がり過ぎて、この種の取り組みに慣れていない現場のエンジニアでは見逃しやすい。そこで研究員の組織の中で実際に起きている「影響」の問題を調べてみると、副作用が起きる「場」として「時間」や「メモリー領域」といった、いわゆる「リソース」に共通することに気付いた。「リソース」に着目する効果としては計測が可能で判断のための「限界値」が定義できることである。

概要:

派生開発の現場ではベースシステムが大規模で全体を把握しきれない、設計書が存在しない、などの事情によりデグレードが後を絶たず悩まされている。そこで、不具合事例を分析したところ、特に調査・修正に時間がかかり現場を悩ませている不具合の原因は変更要求で直接明示されている機能を変更したことで影響する別機能の変更漏れであり、かつ、リソースに関わる変更漏れであることに気づいた。我々はその不具合の要因を「間接リソース変化点」と定義し、設計段階で抽出するべく「変更設計書(間接リソース変化点付き)」を作成した。これを実際に発生した不具合事例に対して適用しシミュレーションを行った結果、改良した変更設計書を使用することで間接リソース変化点を抽出することができ、変更漏れを防ぐ効果が得られた。