一般事例発表

A会場

工程の品質改善・効率化

モノづくり現場が進めるデジタル化

作業者に寄り添った品質管理業務の改善

青山 秀明 氏
トヨタ自動車株式会社
【共同発表者】吉田 保正 氏
自動車エンジンを製造している私たちは「モノづくり現場らしいデジタル活用の姿」を模索しています。現場のリアルを知っている自分達だからこそ、自分達に適したデジタル文化を作れる。その想いでプログラミング経験の無いメンバーが自らの課題をデジタルで解決する活動を推進しています。
日々の品質チェック作業も実は”気遣い作業”の連続です。そんな気遣い作業を”デジタルの力と創意くふう”で、「確実に正確に」、加えて「みんなを楽に」「みんなを笑顔に」していく事に取り組んでいます。私たちの活動の想いとカイゼン事例をご紹介致します。

グラフとフィルタによるクレームデータの分析

細島 章 氏
東林コンサルティング
エクセルのクレームデータベースは報告日、製品名、顧客、不具合内容、原因、責任部門、仕入先、対策、出荷日などの多変量データであるが、ここから問題を可視化するにはコツがある。X軸に年、Y軸に不具合数を布置したグラフではY軸を製品、責任部門、不具合内容などで分割する。X軸に不具合内容や仕入業者を度数順に布置したグラフはY軸を年で分割する。分割ではなく色で重ねる方法もある。報告日と出荷日の差の変量にも注目する。裾が長い変量はデータフィルタで絞り込む。特異点を見つけたら選択→サブセットでドリルダウンする。帯グラフは見栄えは良いがこうした問題発見に適さない。

切削加工データを用いた最適な加工条件の導出

佐藤 圭太 氏
株式会社デンソー
【共同発表者】岩井 雄大 氏
アクリル製光学部品の開発試作において、超精密加工機を用いた試作加工工程の期間短縮が課題となっている。
本発表では、従来の経験値に基づくテストを繰り返すことで導出してきた良品加工条件を、CAEを活用したデータ分析による予測モデルの導入に変えることで、良品加工条件の導出期間を短縮した。
試作加工工程の期間短縮の目途付けまで完了したため、その取り組み内容について報告する。

ボトル自動充填機における設備総合効率の向上

滝本 健太 氏
㈱ジーシーデンタルプロダクツ
当社は、歯科医療機器メーカーである㈱ジーシーのグループ会社として1958年に設立され、世界の人々へ「口腔を通しての健康」を提供する企業として、「健康長寿社会を実現する歯科界のリーディングカンパニーとなる」をビジョンに掲げて活動を続けており、GQM(GCのTQM)導入(1981年)、デミング賞受賞(2003年)、日本品質管理賞受賞(2006年)といった挑戦を通じて企業品質の向上と現場力の強化を図り、TQM活動を継続しております。
当社製品である歯科用ボンディング材は、国内・海外から多くのご注文をいており、生産能力の向上が急務となっております。
本テーマでは、設備総合効率の向上により、生産体制の強化を図った改善事例をご報告させていただきます。

ETQ Reliance ® による品質マネジメント実践事例のご紹介

小菅 肇 氏
エムエスシーソフトウェア株式会社, Part of Hexagon Manufacturing Intelligence
全世界で600社以上のお客様に選ばれている「ETQ Reliance ®」の事例をご紹介します。
「ETQ Reliance ®」は、TQM (Total Quality Management) をベースに、品質プロセスの継続的な改善を進める企業様を強力にサポートするクラウドアプリケーションです。様々な規格や法令で求められている要求事項をサポートし、効果的・効率的な品質マネジメントを可能にします。
サプライヤーの品質、設計からの品質の造り込み、品質不良によるコスト、監査対応工数や品質状況の可視化など、多くの問題を本製品が解決してきました。今回はこれらのお客様の事例をご紹介します。
B会場

SQCの活用

員数確認 画像判別センサ 誤判定の撲滅

杉浦 礼記 氏
トヨタ紡織株式会社
当社の刈谷工場ではオイルフィルタを生産しています。
生産したオイルフィルタを箱詰めする際、その員数確認は人の目視のみで実施していた為、箱内のオイルフィルタに過不足が生じるリスクがありました。
そこで、員数の品質向上を図る為に画像判別センサでの検出を採用しましたが、導入後に画像判別センサによる異常「誤判定」が発生していることが判明しました。
この活動では、画像判別センサに影響を及ぼす外乱を抑制させ、また応答曲面解析を用いて最適な設備条件を導き出し、「誤判定」撲滅を目指し取組んだ事例を紹介します。

成形不良“シルバーストリークス”の予測精度向上

曽我 涼子 氏
トヨタ紡織株式会社
当社では成形不良の中で特に”シルバーストリーク”の対策において、生産準備におけるコストと納期が問題となっていました。シルバーストリークとは製品表面に銀色の筋が発生する現象で流動解析による事前予測は継続的に実施していましたが、予測パラメータや閾値が不確実で活用可能なレベルではありませんでした。今回の活動において、SQC手法(実験計画法・判別分析)を活用して数ある流動解析結果よりシルバーストリークへの影響度の高いパラメータを選定し、更に予測式を立てた事で不良検出率70%以上を達成しました。この事例では解析とSQC手法を掛け合わせた予測精度向上について発表します。

IQS向上に向けた最適なシートヒータの提案

天野 直哉 氏
トヨタ紡織株式会社
当社は、主力製品として自動車用シートを開発・生産しています。
昨今の電気自動車の普及に伴い車室空間全体の温度快適性に注力し、様々な製品・技術開発にも取り組んでおります。
今回はその中でも市場ニーズが年々増加している「シートヒータの自動車初期品質調査(IQS)※」に着目し、SQC手法(多変量解析)を用いて人の温熱嗜好の傾向把握や温熱感の寄与度分析を行い、シートヒーターの快適性向上を図った事例を紹介します。
※:Initial Quality Studyの略称(J.D. Power社が実施している自動車の初期品質に関する調査)

樹脂金属ダイレクト接合の品質保証に向けた影響因子の定量化

髙橋 侑椰 氏
株式会社デンソー
環境意識の高まりから電動車の市場が急拡大しており、燃費や搭載性の向上のため、搭載部品の小型軽量化が求められています。それに対して金属を軽量な樹脂に置き替える開発が進んでいますが、材料物性上、樹脂単体では部品の要求特性を満足できません。そこで、樹脂の構造体に、金属を組み合わせることで、要求特性を満足させるべく、樹脂と金属の直接接合技術を開発しています。車載での実用化の課題は品質保証であり、現象が複雑なため影響因子が定量化できていないことが原因です。今回は、ドメイン知識を基に影響因子を絞り込み、D最適計画とLASSO回帰で要因分析することで、短期間で品質保証の目途付けができた事例をご紹介します。

ヒートシンク金型における狭小深リブ形状の品質向上

神浦 克宏 氏
株式会社アーレスティダイモールド浜松
弊社、アーレスティダイモールド浜松はアルミダイカスト用金型を製造しております。
世界的な自動車の電動化の中で、電動車用部品特有の形状にも対応する必要があります。
その中で、ヒートシンクのような狭小深リブ形状を加工するにあたり、品質(面粗さ)の課題がありました。
本発表では、SQC手法を活用して、従来の形彫放電加工よりQCDで寄与できるマシニングセンターでの直彫り加工の製造条件を確立したので、その取り組みついて報告します。
C会場

マネジメントと組織運営、新商品開発・技術開発、SQCの活用

企業内コミュニティ活用とナレッジマネジメントによる
組織開発・組織学習の推進

北村 岳大 氏
株式会社TMJ
当社はコールセンター中心のBPO事業を展開しており、組織のサイロ化やナレッジの共有、エンゲージメントの課題に直面しています。このような課題に対処するため、現場中心にナレッジマネジメントとコミュニティ活動を推進しています。私たちはクローズド環境を横断し、技術情報や成功事例を共有し、組織全体でのナレッジ共有を実現しています。さらに、事業に関連する重要テーマごとにナレッジコミュニティを組織し、活動のフレームワークを提供して推進しており、この取り組みはサービス品質の向上や従業員のエンゲージメントにも貢献していると考えています。今回は、この取り組みの具体的な事例についてご紹介させていただきます。

中外製薬のクオリティに関する取り組み

~ビジネスバリューチェーンを通じた全社展開~

須藤 宏和 氏
中外製薬(株)
【共同発表者】樋口 雅義 氏
中外製薬では『Quality Vision 2030』として「質と効率を両立するクオリティマネジメント」、「全てのバリューチェーンにおけるクオリティカルチャー浸透」を実現し、患者さんの期待に応える製品・サービスを提供することを掲げている。本発表では、中外製薬が製品とサービスに「信頼」という価値をつけるために追求している4つの「中外クオリティ(製品、情報、プロセス、人財)」とクオリティカルチャー醸成活動の取り組みを紹介する。また、医薬品開発研究及び製造において、社外の委託施設との良好な関係構築や緊密な連携によるビジネスバリューチェーンの品質保証体制強化の取り組みについて報告する。

顧客との共創 (N=1)からの価値創造

~目に見えない微細水粒子AIR(アイル)が秘めた大きな可能性~

井上 慎介 氏
株式会社アイシン
AIR はAqua/ Innovative/ Rudimentの頭文字をとった造語で、「アイル」と読む。我々はAIRを約1.4nmの目に見えない大きさの水粒子と考えており、科学的検証を進める中で、電荷を帯びていない、極性を持たない、構造が安定しているなど、ユニークな特性が明らかになってきている。
AIRは、医療・農業・食品・衛生など、生活のさまざまな場面での活用を視野に入れているが、我々が最初に取り組んだのは、前身のアイシン精機から数え半世紀以上の歴史の中で初めての領域となる理容・美容分野である。自動車部品の製造が事業の95%を占めるなかで、この新しい事業はいかにして立ち上がったのか?これまでの取り組みについて紹介する。

自然言語処理による保全反映書の有効活用

~MTTR短縮~

山下 慎一 氏
株式会社アイシン
【共同発表者】平尾 祐記 氏
所属する保全課では、設備故障件数は予防保全などの取り組みにより減少していますが、人員減少と若手未経験者の増加により、1件当たりのMTTRは増加しています。その原因の一つとして、新人の診断工数がベテランの約1.5倍かかることが挙げられます。
過去に発生した故障の保全内容はシステム(カルテミクス)に収集されていますが、検索が複雑で実務活用できていません。そこで、本テーマでは自然言語処理と機械学習を用いて、保全依頼に対するカルテミクスの検索精度を向上することで、過去の故障履歴を元に迅速な修理が可能となり、保全作業時間を年間400時間短縮することができました。

商品企画七つ道具の進化

-DXを活用して効率化-

石川 朋雄 氏
有限会社企画システムコンサルティング
本発表の核心は、商品企画七つ道具がいかにコンセプトの最適化を実現し、DXによってさらに進化したかです。この方法論は、ニーズの探索からコンセプト確立まで、論理的にプロセスを導きます。特に注目すべきは、各ステップでのデジタル技術の活用です。オンライン調査、統計ソフトによる高度な分析、AIを用いたアイデア創出、VRによる試作評価など、これらの革新がコンセプト最適化をより迅速かつ正確にしています。従来の人海戦術から脱却し、効率的にデータを収集・分析することで、顧客の真のニーズを捉えた商品の企画が可能になった点に着目してください。
D会場

人材育成、ホワイトカラーの生産性向上

「考え方」の指導を最重視した問題解決の実践指導

熊井 秀俊 氏
元(株)リコー 日本品質管理学会 フェロー
問題解決もうすでに高度に体系化された考え方進め方がある。指導者はこれを一生懸命に教えているが、メンバーが「習得した」といえるようになるのはなかなか難しい。それは、問題解決の方法・手順ばかりを一生懸命なぞって模範解答を出すことに夢中になり、難しいが極めて重要な問題解決の「考え方」を身に染みて学ぶことが手薄になっていることが原因であり、ストレスもたまる。そこで今回は「方法・手順」を道具として携えながら、問題解決での大事な「考え方」に最重点を置き大きく肉付けをして指導をすることと、この指導における指導者の効果的な動き方について、これまでの実践指導事例をもとに紹介する。

品質不正を防ぐ教育

實原 信昭 氏
標準化戦略研究会
近年多発する品質不正の発生を鑑み、どうすれば品質不正をなくせるのかを品質不正をする人の気持ちからアプローチする事で、「なぜ品質不正が発生するのか」を示し、「どうすれば品質不正をなくせるのか」を実現する方策を提案する。
提案内容は、ISO9001規格の枠組みを活用して「組織の不合理の理解」、「経営トップのコミットメント」、「企業風土の醸成」を、「品質管理(改善)教育」を軸に教育することで不正防止意識を向上し品質不正の撲滅を図るものである。本発表では、発表者の経験を踏まえた事例を交えながら詳細を説明する。

中小企業向け工場幹部育成講座の実際Ⅱ

花﨑 雅彦 氏
一般社団法人中部品質管理協会
現在、中小企業の教育環境は、自社での内製教育を実施する体力もなく、頼みの取引先企業が提供する教育も少なくなるなど、改善指導や品質教育を受ける機会が少なくなっている。そのような中、本協会では企業と協働で中小企業向け工場幹部育成講座を立上げ実施してきた。本講座では、座学において必要な知識を学習し、宿題・演習にて工場幹部として必須な手法のスキルを磨くこと、一方実践テーマ研究では、与えられた問題の解決だけでなく、自ら本質的な問題を見つけ課題を整理し、実際に解決することで工場幹部としての能力向上を図っている。本稿では、昨年に引き続きこれらカリキュラムの具体的な内容についてその特徴を中心に詳説する。

仕事を楽しく楽ちんに♪ 紙・エクセル管理からの脱却!

~アプリ化を通じた安全・コンプライアンス・労務管理への対応力向上~

江邑 智景 氏
トヨタ自動車株式会社
長年、紙やエクセルを使用して行われてきた管理業務を、デジタルとITを駆使してアプリやワークフロー等で自動化・効率化を図りました。この取り組みは、ユーザの声を元にトライ&エラーを繰り返しながら、ベターベターの改善を積み重ね、より多くの方に長く活用いただけるアプリを目指して開発に至ったものです。その結果、作業時間の大幅な短縮と余力の創出、更には安全・コンプライアンス・労務管理への対応力向上へとつなげることができました。身近な誰かの困りごとからはじめた知識・経験値ゼロの"一人の改善”が、部署の垣根を越えてつながり、全社へ横展開した内容をご紹介いたします。

生成AI×クラウドで、欲しい情報を、誰でも、いつでも、欲しい形で

奥谷 亮介 氏
トヨタ自動車株式会社
【共同発表者】坂井 洋志 氏
「欲しい情報を、誰でも、いつでも、欲しい形で」を実現するクラウドワークスペース「Knowledge Factory」を開発しました。この革新的なプラットフォームは、生成AIとクラウドサービスを活用して、ドキュメントのデジタル化、加工、検索、共有をシームレスに実行します。ユーザーは、直感的に操作できるカスタム可能なAIチャットを通じて、リアルタイムで信頼性の高い情報を取得・加工可能です。また、高度なハイブリッド検索を使ったRAGシステムが、必要なデータを迅速かつ正確に抽出します。ナレッジとツールの共有も簡単で、これによりホワイトカラーの生産性と情報の品質が飛躍的に向上します。
E会場

その他、QCサークル活動(小集団改善活動)の推進、
サービスの質向上、人材育成、その他

ことばのデータ
「ことばによる人財育成がQCサークル復活のカギ」

猿渡 直樹 氏
NSMコイルセンター㈱
【共同発表者】上家 辰徳 氏
ここ数年、QCフォーラムにおいて、「ことばのデータ」についての研究成果の発表を行わせてもらっている。今回は、ことばのデータの活用方法のひとつとして、QCサークルの活性化をするためにQCサークル員をことばのデータで人財育成するということについての研究成果を発表する。QCサークルの活性化のためには、QCサークルを活性化することができるサークル員としての資質が必要であり、その資質を持った人財は、QCサークルの中で人財育成する必要がある。第一部でどのような人財をどのように育成するのかを紹介し、第二部で実際のQCサークルでの人財育成の実例を紹介する。

「QCサークル活動の変革」

~実活動を大切にする風土の醸成~

林 保徳 氏
株式会社デンソー
当社では、QCサークル活動が発表会のための活動になっているなどの弊害を指摘する声の高まりを受け、20年からQCサークル活動を本来の実活動(日々の改善活動を軸とした人財育成)重視へと原点回帰させるべく取組みを進めてきました。
問題点の顕在化と共有、会社としての変革決断、変革の自律的推進の仕組みづくり、活動・指導能力向上のための教育の充実、苦戦部署への支援施策などを進めました。その結果、まだ道半ばではありますが実活動の定着度合は着実に向上しており、多くのサークルから活動に対する前向きな声が寄せられるようになりました。
本発表では、QCサークル活動の全社推進事務局としての具体的な取組みをご紹介致します。

日本品質奨励賞 受賞報告講演(予定)

準備中

“わくわく業務設計”へのチャレンジ

ーその業務、目的と価値はなんですか?ー

山岸 久美子 氏
コニカミノルタ株式会社
業務は楽しい方が良いですし、パフォーマンスも上がりますよね。間接部門の業務は成果が見えにくく、単調で退屈に感じることがありました。そんな中、私たちは業務の価値に着目をしました。「その仕事が誰にどんな価値を提供するのか」を考え、独りよがりではなく「その価値が相手に期待されているものなのか」を検証しながら進めることで、業務の価値とその成果が見える化でき、「やらされ感」から「やる気モード」に大変身!やる気スイッチは業務設計にあることに気付きました。
本講演では、これらの業務設計に着目した取り組み内容と気持ちの変化を紹介します。「わくわく」する業務設計にご興味のある方はご聴講ください。