クオリティフォーラム2022

過去の実績

 第1日目 11月9日(水)

A会場

令和大磯宣言後のこれからの品質経営
(顧客価値創造+組織能力の獲得、向上)の提案

~品質経営研究会からの報告~

セッションの趣旨


日科技連では、第109回品質管理シンポジウムにおいて、「顧客価値創造と組織能力強化の連携による企業存在価値の最大化」をテーマに議論を行い、「令和大磯宣言」として、これからの品質経営の在り方について提言を行いました。
これは、これからの品質経営は「企業存在価値を最大化していくためには、顧客(社会)価値を創造し、それを実現するための組織能力を獲得・向上していく必要がある」という内容であり、今後の日本企業が生き残っていくために必要となる考え方です。
そして、その考えを産業界へ発信・普及していくために、そのノウハウの提供、より具体的な考え方、方法論・手法の検討を進めています。

本セッションでは、令和大磯宣言後の現状の議論の内容に加え、品質経営(顧客価値創造+組織能力の獲得・向上)に取り組んでいる企業での実践事例を通じて、今後の日本企業が生き残っていくための方向性を議論していきます。

こんな方にオススメです!


  1. ①TQM・品質管理・品質保証部門、新規事業開発部門、経営企画部門、製造・生産技術・設計・開発部門、ソリューションビジネスの検討を迫られている事業部の方
  2. ②以下のような、課題をお持ちの方
    • 顧客価値創造・組織能力の獲得とは、具体的に何をすれば実現できるのか知りたい。
    • BtoB、部品メーカーの会社にとって、顧客価値創造をどう考えればよいのか分からない。
    • コト価値の品質を担保するのは、自社では相当ハードルが高い。
    • これまで取り組んできたTQMと何が違うのか、具体的に知りたい。

顧客価値を創造し続けるスマートコンストラクション最新の挑戦

小野寺 昭則 氏
株式会社EARTHBRAIN
代表取締役社長
小野寺 昭則 氏 安全で生産性が高くスマートでクリーンな未来の建設現場をお客様と共に創造することをビジョンに掲げ、コマツはスマートコンストラクション事業をスピンオフし、新たなパートナーと共に株式会社EARTHBRAINを発足させた。
建設機械の自動化・無人化の進化の軸、すなわち「モノ」の進化はそのままコマツが担当し、「出島化」したEARTHBRAINはその建設機械が使われるお客様の建設生産プロセス全体をデジタル技術で最適化する「コト」の進化をスピーディーに且つ世界規模で実現することに取り組む。
今回は、スマートコンストラクションの事業開発を通して、これまで学び、挑戦して来た、「コト価値」をアジャイルに開発していく手法や「コト品質保証体系」の枠組みについてご紹介する。

自立自走型自治体への収益体質化支援サービス立ち上げの軌跡

―お客様とともに創る品質―

別府 幹雄 氏
株式会社ガバメイツ 代表取締役
コニカミノルタパブリテック株式会社 代表取締役
コニカミノルタ株式会社 関西支社長
別府 幹雄 氏 我々は2019年から地方自治体職員の高齢化に伴う人手不足、ノウハウの継承の課題に着目して人口規模別、業務別、作業別に全国160以上の自治体と協力してデータ収集、分析を行ってまいりました。その着想の原点は、「法令に基づき、同じインプット情報で同じサービスを届けることを求められている自治体現場は人口規模別に業務フローが標準化できるはず」と考えたからです。現在、我々はそれらのデータを全国の自治体職員の方々が、「同じ人口規模の自治体で、同じ業務をやっている職員はどのような業務フローで仕事を行っているのだろうか?」という観点で参照しあえるサービスを行っております。
「このデータをこんな風に活用できないか?」や「このデータからこんなことは見えてこないか?」といった各方面からのお問い合わせが殺到しており、本当にうれしい悲鳴を上げている状況です。一方で、「我々のサービスの真の顧客は誰なんだろう?」や「どのお客様から報酬をいただくかで設計するサービス内容が変わってくる」といったまさにカスタマージャーニーをどのように定義するかというサービスビジネスにおける経営課題と日々向き合っております。
私の講演の中では、現在進行形の事例を活用しながら「お客様と共に創り上げていく品質」というテーマでお話しさせていただきます。

顧客価値創造を実現するためにTQMをどう活用するか

中條 武志 氏
中央大学 理工学部 ビジネスデータサイエンス学科
教授
中條 武志 氏 事業環境が大きく変化する中、組織が持続的に成功をおさめるためには、ニーズとシーズを結びつけて顧客・社会にとっての新たな価値を創造することが必要である。しかし、どんなに素晴らしいビジネスモデルを描いてみても、それを実現する能力が組織に備わっていないと絵に描いた餅にしかならない。本講演では、JSQC規格「TQMの指針」をもとに、価値創造のために必要な組織能力を獲得する方法について説明する。また、デミング賞受賞組織の活動をもとに、「TQMはコトづくりには役に立たない」「TQMは高度に情報化された社会では役に立たない」といったTQMに関する誤解を払拭することももう一つのねらいである。

3者とフロアによる総合討論(パネル)

【コーディネーター】池田 祐一 氏
総合系コンサルティングファーム
コンサルタント
池田 祐一 氏 本セッションの総合討論では、”どのような顧客価値を創造し、それらを組織活動でどのように実現するか”、”このときどのようにTQMを活用すべきなのか”について、ご登壇いただいた3者のお話を基に、顧客価値創造+組織能力の獲得・向上で浮かび上がる具体的な問題/課題は何か、それらをいかにクリアしていくべきなのかについて、ご視聴される方々も交えて、共に考えていきます。そして、顧客や事業が大きく異なっていたとしても、これからの品質経営を実践するには何をすべきなのか討議し、ご視聴いただいた皆様含めた、日本企業が生き残っていく方向性を探ります。
B-1会場

デジタルトランスフォーメーション(DX)による
新しい価値の創造 Ⅲ

セッションの趣旨


あらゆる産業において、新たなデジタル技術でこれまでにないビジネス・モデルを展開する新規参入者が登場したことで、ゲームチェンジが起ころうとしています。
こうした中で、各企業は、競争力維持・強化のために、デジタルトランスフォーメーション(DX:Digital Transformation)をスピーディーに進めていくことが求められています。

本セッションでは、産業界でのDXの機運が高まっている中、企業の実践事例を紹介することにより、産業界におけるDXの推進はどのように行うべきなのか、特に新しい価値の創造を実現するためのポイント、またビジネスモデルの変革に伴うソフトやシステムの開発および品質保証体制はどうあるべきかについても議論を行います。

こんな方にオススメです!


  1. ①TQM・品質管理・品質保証部門、新規事業開発部門、経営企画部門、ソリューションビジネスの検討を迫られている事業部の方
  2. ②以下のような、課題をお持ちの方
    • DXとは、我が社に置き換えた場合どういうことで、どう取り組む必要があるのかわからない。
    • ビジネスモデル創造にDXをどう活用すればよいのか知りたい。
    • トップから「我が社でもDX導入を早急に検討せよ」と指示があったが、どのように検討を進めてよいのかわからず、各社の事例を参考にしたい。
    • 新しいビジネスモデルのアイデアが出来たとしても、実践のハードルが高く、“絵に描いた餅”になってしまうことが多い。

With コロナ時代をデジタルで切り拓く

荒牧 秀知 氏
全日本空輸株式会社
執行役員グループCIO(Chief Innovation Officer) デジタル変革室長
荒牧 秀知 氏 2020年1月に始まったCovid-19の大流行は当社を含む世界の航空会社に大きな打撃となりました。しかし今、その暗く長いトンネルの先がほんのり明るくなってきているように感じます。
今年創立70周年を迎えるANAグループは、これまでも常に新しい価値の創造に挑戦してきました。今回の講演では、グループが保有する様々なデータをつなぐことで生み出す新たなお客様体験価値や、デジタルを活かした新事業についてご紹介します。
またDXを推進する上で、もっとも重要な要素は人財です。当社では、グループ全社員のデジタルマインドが「共振・共鳴」し、デジタルの力で事業変革を推進することを目指し、階層別・役割別のデジタル教育カリキュラム『ANA Digital Resonance』を開始しました。
これらの取組みを通じて、Withコロナ時代に再び空高く羽ばたこうとしているANAグループの未来についてご説明致します。

カーボンニュートラルが製造業に変革をもたらす

~デジタルでつながるものづくりによる破壊的な創造~

西岡 靖之 氏
インダストリアル・バリューチェーン・イニシアティブ理事長
/法政大学デザイン工学部教授
西岡 靖之 氏 製造業にとって、2050年のカーボンニュートラルを目指した取り組みが始まっています。ただしこれは、単にCO2の排出量を削減すればよいという問題ではなく、ものづくりの軸足が従来のような自由な競争を重視する立場では立ち行かなくなることを示唆しています。それぞれの企業は、協調のためのメカニズムをしくみとして組み込む必要があり、デジタルでつながること前提とした新しいルールに従う必要があります。

これまで製造業は外部とデジタルでつながることを避けてきました。デジタル化がもたらす破壊的な意味を本能的に知っているのです。すなわち、デジタル化によるロックイン、ノウハウや知財の流出、均質化や競合との格差拡大です。こうした状況を避けつつ、製造業が新たな未来に展開するため、欧州で先行するデータ主権やデータ空間の取組を参考として、我が国のものづくりに適したカーボンニュートラルのための協調のしくみを議論します。

日本の製造業が直面している課題の解決に向けた
DX推進への取組み

森田 和信 氏
株式会社 日立製作所
執行役常務
インダストリアルビジネスユニットCEO
森田 和信 氏 自然災害、感染症、地政学リスクの増大など、企業経営を取り巻く環境は複雑さを増しています。また、サプライチェーンの急速な需要変動への対応、地球環境への貢献など、製造・流通業の企業が取り組むべき経営課題は、これまで以上に多様化、複雑化しており、従来とは比較にならないほど複雑な運用と柔軟な対応が求められています。
このような中、日立は協創とデジタルにより、企業間・組織間の「際」をつなぐことによって、業界や社会全体の課題を解決するDXに取り組んでいます。
本講演では、DXによる課題解決について、日立グループでの取り組み事例や、お客様との協創事例を通じてご紹介いたします。

3者とフロアによる総合討論(パネル)

【コーディネーター】三好 敏 氏
日経BP 総合研究所
クリーンテックラボ 上席研究員
三好 敏 氏 本セッションの総合討論では、デジタル変革の最前線に立つ3人の登壇者の方々からいただいたお話を基に、企業がDXに取り組むことの意義や、DXを通じて目指すべき新たな企業像などについて議論します。DXについては概念を巡る話題が先行したことから、実際に何を目的にして、どのように取り組めばよいのかが、よく分からないという声は、いまも現場を中心に少なくありません。一方で、中長期の事業戦略にDXを盛り込み、新たな展開を始める企業が着実に増えています。議論の中では、独自のビジョンを掲げてDXに取り組む企業の考えや取り組みの背景を解き明かしながら、DXの本質に迫ります。
B-2会場

様々な業種で行われている品質経営への取組み

セッションの趣旨


新たな顧客価値を創造するために、これまでの"ハード(製品)の提供"といったビジネスモデルから、"ソフト(サービス)を提供することと合わせたソリューションビジネス"への変革が進んでいます。一方で、昨今の品質に関する不祥事や偽装といった問題も多発しており、足元の品質経営(組織)のあり方やガバナンス体制の見直しを行う必要性も叫ばれています。

本セッションでは、製造業以外の業種・分野で品質経営に取り組んでいる企業に登壇いただき、品質経営は、顧客価値創造、組織能力向上に有効な経営ツールであるとともに、どのような形態、規模の組織であっても品質経営は有効であるということをお話しいただきます。
製造業以外の業種・分野の取組からも、新たな気づきを得ていただき、自組織の活動に活かしていただきたいと思います。

こんな方にオススメです!


  1. ①TQM・品質管理・品質保証部門、製造・生産技術・設計・開発部門、QCサークル活動の推進部門の方
  2. ②以下のような、課題をお持ちの方
    • 品質経営を社内で浸透させたい。
    • 製造業以外の業種・分野などでも品質経営が有効であるか知りたい。
    • 登壇企業では、なぜ、品質経営が効果的に推進できているのか。そのヒントを自社に活かしたい。

特許事務所の品質経営

恩田 博宣 氏
弁理士法人 オンダ国際特許事務所
会長
恩田 博宣 氏 特許事務所を取り巻く環境は、非常に厳しくなっています。日本国内の特許出願件数は漸減状態で、年43万件あった出願件数は、現在30万件まで減少しています。一方、その出願を扱う弁理士数は激増しており1万2千名になっています。
従って、需給の関係から弁理士手数料は下がり続けているのです。当所が継続するためには、品質面で他の特許事務所との差別化を図る一方、極限までコストを下げる必要があります。
それを実現するために取り組んでいるのが、「QCサークル活動」「システムの内製化」ISO9000の導入から学んだ「独自のマネージメントシステム」「アメーバ経営」などです。特許事務所という業種では、めずらしい取り組みばかりですが、これらを融合した当所の品質経営について、具体事例を通して、ご紹介いたします。

TMJにおける顧客への価値提供にむけた品質経営への取り組み

野上 真裕 氏
株式会社TMJ
運営監理部 部長
野上 真裕 氏 当社はBPO企業として、多種多様な業種・業界のコンタクトセンター、バックオフィスの業務運営に携わっている企業です。2006年から改善の社内共通言語化、組織力強化を目指しQCサークル活動(呼称:「小さな改善」)を業界に先駆け全社導入しています。全国各地に点在する事業拠点とスタッフ・勤務体系が多様な中での当時のQCサークル活動の全体設計方法と経営理念である「Creating Client Value」「with your style」をベースとした経営貢献への進化、品質マネジメントシステムをコアに更なる社内外の顧客への価値提供、変化対応力向上に向けた仕組みづくり・仕掛けをご紹介します。

楽天グループの品質経営とそれを支える仕組み

菊池 佐知子 氏
楽天グループ株式会社
オペレーションディビジョン グループ品質部 ジェネラルマネージャー
菊池 佐知子 氏 楽天グループは、日本発のインターネット・サービス企業で、Eコマースをはじめ、フィンテック、デジタルコンテンツ、昨今では携帯キャリア事業など、多岐にわたる分野で70以上のサービスを提供しています。これらサービスを、楽天会員を中心としたメンバーシップを軸に有機的に結び付けることで、独自の「楽天エコシステム(経済圏)」を形成しています。
楽天エコシステムを利用するお客様の期待に応えることはもとより、期待を超えるサービスや製品を提供できるよう、品質保証体制の構築、QCCなどのグループ横断の品質活動を通じたTQMの導入、NPSやVOCを改善する全社横断活動などを推進しています。
本活動を通し、「イノベーションを通じて、人々と社会をエンパワーメントする」という企業理念の具現化を進めております。IT企業である楽天グループが進める品質経営とそれを支える様々な仕組みを、事例と共にご紹介致します。

3者とフロアによる総合討論(パネル)

【コーディネーター】高木 美作恵 氏
(一財)日本科学技術連盟 嘱託
高木 美作恵 氏 本セッションの総合討論では、製造業以外の業種でTQMに取り組んでいる企業から3名のパネラーにご登壇いただき、全員参加でいかにしてお客様から求められる品質や共感される価値を生み出し、品質経営のあり方を追究・実践することで、経営目標の達成に向けた取り組みについてご講演いただきます。

ご講演内容を基に、品質経営は、あらゆる業種で企業の目指すべき方向性や目標に対し、本当に効果があるのか、その有効性について、ご視聴者の皆さんと一緒に考えていきます。
C会場

顧客価値創造、コト価値提供時代の方針管理の進化

~方針管理研究会での検討経過を踏まえて~

セッションの趣旨


方針管理は、1960年代に経営方針(目的・目標)を達成するために行う、業務の管理のしくみ・取り組みとして誕生し、現在まで、「TQMのコアツール」として多くの企業で活用されてきています。しかしながら、昨今、「顧客価値創造、コト価値提供時代」と言われる中では、方針管理が効果的に運用できていない、という声が散見されています。
このような現状を鑑み、日科技連では、2020年度に「方針管理研究会」を新設し、グループ研究活動にて、検討を続けてきました。

本セッションでは、方針管理の重要性を改めて考え、顧客価値創造・コト価値提供時代にも活かせる方針管理について、各グループ代表メンバーから成果報告を行います。
また、新たな時代における進化した方針管理その展開のポイントなどについて、先進企業の実践事例もまじえて議論し、昨今の企業の悩み解決の一助にしていただきたいと思います。

こんな方にオススメです!


  1. ①TQM・品質管理・品質保証部門、製造・生産技術・設計・開発部門の方
  2. ②以下のような、課題をお持ちの方
    • 環境が大きく変化する中での経営目標・戦略の達成が難しい。
    • 経営目標・戦略達成のために必要な組織能力とは何かを明確にしたい。
    • 顧客価値創造を目指した取り組みと、改善・革新をドライブするための方針管理を、どう結びつければ良いか分からない。
    • 重点が絞れず総花的な方針になっており、方針展開(上位/下位方針の擦り合わせ)においても因果関係が考えられていない。
    • 顧客価値創造、コト価値提供における方針管理が、これまでとどう違うのか分からない。

経営目標・戦略を達成できる組織能力を生み出す TQM の推進

米岡 俊郎 氏
株式会社P&Qコンサルティング
代表取締役
米岡 俊郎 氏 方針研究会1グループの2021年から2022年の活動の中間報告として参加メンバー(ブリジストン、コニカミノルタ、キャタラー、トヨタ自動車九州、日科技連からの参加メンバー及び企画委員2名)を代表して講演します。1グループのテーマは「経営目標・戦略を達成できる組織能力を生み出すTQMの推進(中期経営計画・組織能力とTQM活動要素との関係)」で、経営目標を達成する為の方針管理のやり方として、会社方針に上げたテーマの実行、それを実現するために必要な組織能力の定義と向上策、組織能力の向上の為のTQM活動要素について、PDCAの回し方をグループで議論しています。その中で合意できた考え方、やり方について、各社の具体的事例も含め、紹介します。同様な活動を取り組み中の会社の皆さんに参考になるところがあれば幸いと考えます。

顧客価値創造と方針管理を結びつけるための方法

宮野 玲衣 氏
株式会社ジーシー
取締役 国際品質担当
宮野 玲衣 氏 方針管理研究会WG2では、昨年度から「顧客価値創造と方針管理を結びつける方法の研究」に取り組み、モデルケースを設定の上、活動プロセスを洗い出し、会議体、帳票などを紐づけ、体系化を進めています。研究を通して明らかになった点として、顧客価値創造はプロジェクトチームでチャレンジする組織形態が主流であることから、方針管理のプロセスも社内外連携で取り組む必然性に加えて、方針を管理する上で重要な目標値、管理項目に関しては、潜在課題を見える化するに従って評価要素、特性を具体化していく機能展開的な視点を要すること、さらには複数のプロセスゲートを節目としてPDCA、フィードフォアード、フィードバックを進めることから、年次、月次にとらわれない機動力のある管理が求められる点などが挙げられています。本フォーラムでは、その要諦について解説します。

変化に対応し、経営目標を実現する方針管理・日常管理のあり方

村川 賢司 氏
村川技術士事務所
所長
村川 賢司 氏 方針管理は、日常管理の体制が確立され機能しているという前提で、変化する経営環境の対応に不可欠な重要課題を認識し、これを解決するために限られた経営資源を投入するための管理です。方針管理の下に日常管理があるわけではなく、方針管理の補完として日常管理があるのでもありません。組織運営の基盤に日常管理を位置づけ、変化へ対応し、経営目標を実現する方針管理にするためには、次項への留意が望まれています。
‒ 毎年定型的な方針が羅列され、変化に対応すべき本質的な課題を認識しにくい。
‒ 方針管理と日常管理が連携して効果を上げるための一元化された仕組みがない。
‒ 意図しない又は意図した変化に対し、変化対応への明確なプロセスが未確立である。
これらを考慮し、方針管理と日常管理を一元的に運営するための仕組み、および環境変化に的確かつ組織的に対応するプロセスを構築するための、2つのモデルを展望します。

3者とフロアによる総合討論(パネル)

【コーディネーター】光藤 義郎 氏
(一財)日本科学技術連盟 嘱託
光藤 義郎 氏 総合討論では、まず本セッション前半で報告頂く3つのテーマ、「経営目標・戦略を達成できる組織能力を生み出すTQMの推進」、「顧客価値創造と方針管理を結び付けるための方法」、「変化に対応し、経営目標を実現する方針管理/日常管理のあり方」の各々について、フロアから質問とパネラーによる回答を中心に進めていきたいと思います。その上で、本セッションのメインテーマである「顧客価値創造、コト価値提供時代の方針管理の進化」に関する今日的問題や課題、それらに対する今後の対応の方向性などをフロアにいる皆さんと一緒に考えていきたいと思います。
D会場

第28回 品質機能展開シンポジウム

セッションの趣旨


品質機能展開(QFD)は、新製品や新サービスの開発などにおいて、「顧客のニーズとそれを実現するための設計との関係」を明確にして、確実に高品質を作り込むことが可能な設計アプローチです。
QFDを実践すると、顧客の要求を製造工程まで順次展開し、設計意図を確実に伝えることで、製品やサービスの品質を向上させることができます。また、製品の企画段階ばかりではなく、様々な検討段階においても利活用でき、今まで数多くの企業で実践されている、顧客満足を実現する有効な手法です

本セッションでは、QFDをうまく利活用している様々な事例を通じて、魅力的なものづくりや、確実な品質保証の効果的・効率的な実践、各社の工夫を凝らした取り組みをお聴きいただけます。

こんな方にオススメです!


  1. ①企画、設計・開発部門、品質保証・品質管理部門の方
  2. ②以下のような、課題をお持ちの方
    • 商品企画・設計・開発・品質保証の情報を連携して活用したい。
    • 新製品の開発を進めながら、品質も同時に造り込みたい。
    • 商品企画の要点を設計にうまく落とし込無方法を知りたい。
    • レベルの違う情報を関連づけながら整理する方法や、活用事例が知りたい。

待ち受け型製品開発から提案型製品開発へ

~SDQD、QFD、TRIZを使った企画・開発力強化~

守屋 宗真 氏
水島プレス工業株式会社
技術部 生産技術グループ グループリーダー
守屋 宗真 氏 当社は半世紀以上自動車部品を製造してきたが、あくまでお客様からの要求形状・要求品質に基づき部品を作り、高品質と低価格を実現する、いわゆる待ち受け型製品開発で利益を得てきた。しかし、自動車産業のパラダイムシフトが進行する中、お客様の要求である当たり前品質・一元的品質だけでは、他社との価格競争に陥ってしまう状態になりつつある。そこでお客様の要求に答える体質だけでなく、こちら側からも提案できる体質作りが必要と考え、QFDを使ってお客様・エンドユーザー様の要求を見抜き、TRIZを使って満足して頂ける部品をどの様に考え、どの様に作るのかという現在進行中の過程を紹介し、今回の取り組みの中でいかにQFDが大切なモノかを説明します。

得意技術を起点としたQFDによる潜在ニーズの探索

“研究開発部門での取り組みの紹介”

渡辺 誠 氏
株式会社リコー
先端技術研究所 HDT研究センター
渡辺 誠 氏 将来のための新規事業の確立は重要な経営課題です。所属の研究開発部門において、我々は事業性と品質の確保を技術開発の課題として設定しています。新規事業においては、既存事業であれば比較的容易に取得できるお客様の生の声(RV: Raw Voice)は存在しておらず、要求品質を調査して潜在ニーズのVOC(Voice of Customer)を分析し、商品を適合させていくアプローチが取れません。ここでは需要の創造が必要と考え、我々は先に自社の得意技術を歓迎してくれそうな市場の探索アプローチから始めました。当日はQFDを活用したこちらの取り組みについて紹介します。

MBD(モデルベース開発)における二元表の活用

中村 幸宣 氏
株式会社電通国際情報サービス
エンジニアリング第2ユニット
中村 幸宣 氏 QFDでおなじみの二元表をシミュレーションモデルとともに活用して、モデルベース開発での階層的な目標割り付けを
1)見通し良く、2)効率的に、実施した事例とその考え方を紹介します。
階層間の目標割り付けのポイントは、各階層において機能を特徴づける「特性」を抽出して、それを階層間で二元表にすることです。この二元表を見ながらシミュレーション検討をすることで、注目ポイントを絞り込んだ検討を進めることが可能になります。

実務経験から学んだQFDの有効性

福原 證 氏
株式会社アイデア
取締役 TQMシニアコンサルタント
福原 證 氏 QFDは新製品開発を効率的に行うために配慮すべき事項を整理した、「しくみ」であり、難解で面倒なことを要求するものではありません。しかし、QFDを手法として運用したために、煩雑さが理由で展開をあきらめた例も散見されます。
今回は、「①企業在籍時代のQFDとの出会い、②米国でFukuhara Methodと呼ばれたわけ」で、実務の立場から簡素化をはかってきた経緯を紹介します。さらに、新製品開発の多様化に対応するための、「③新規市場開拓に向けたQFDの拡大、④今後のQFDに期待すること」を提起します。
「これからQFDの導入を考えてみたい」、「QFDの展開は面倒だ」と考えている方々に、きっかけが提供できたらうれしいところです。

 第2日目 11月10日(木)

A会場

失敗学適用事例

~今までの原因分析結果と失敗学の分析結果との比較~

セッションの趣旨


お客様から、

  • 「失敗学に興味・関心があり、社内に導入したいと思っているが、すでに取り組んでいる他の原因分析とどのように違うのかを関係者・関連部門に上手くアピールすることができなくて困っている」
  • 「すでに失敗学に取り組んでいるが、関係者・関連部門に失敗学の特徴を上手くアピールすることができず、推進・展開が思うように上手く進められない」

という悩み・相談をよく受けます。

本セッションでは、そのような声にお応えすべく「既存の原因分析結果と失敗学の原因分析結果の比較」について、具体的な事例を通じてお示しすることで、少しでも失敗学の特徴・効能を感じていただきたいと考えております。
失敗学の特徴である未然防止の効果を定量的に測ることは難しいですが、「既存の原因分析結果と失敗学の原因分析結果の比較」をご覧いただくことで、既存の原因分析結果と失敗学の原因分析結果の何がどう違うのかをご理解いただけるはずです。何がどう違うのかをご理解いただければ、今後自分達はどっちの道に進むべきか、決断することができるはずです。
本セッションにご参加いただいた皆さまにとって少しでも気づき・学びに繋がる機会になれば幸いです。

こんな方にオススメです!


  1. ①品質保証・品質管理部門、製造・生産技術・設計・開発部門の方
  2. ②以下のような、課題をお持ちの方
    • 既存の原因分析手法と分析結果に疑問を感じている(満足していない)。
    • 失敗学に興味・関心がある。
    • 失敗学の原因分析結果の特徴・メリットを知りたい。
    • すでに失敗学を導入しているが、関係者・関連部門に失敗学の特徴を上手くアピールすることができない。
    • 他社の失敗学適用事例を知りたい。

使いこなす失敗学

~あなたも失敗のワナがスルスル見つかる~

岩松 正治 氏
AGC株式会社
環境安全品質本部 品質部 品質マネジメントチーム マネージャー
岩松 正治 氏 まず、失敗のワナを見つける失敗学分析のエッセンスを紹介します。
次に、失敗学を導入しようとする際に、時として壁となる
  • 「なぜなぜ分析」とどこが異なるの?
  • 「なぜなぜ分析」を使っているので十分ですけど・・・。
  • 「なぜなぜ分析」を使っている組織に「失敗学分析」をどのように推奨したらいいのかわからない。
という声にお応えして、両手法の相違点に焦点をあてて事例に基づいて大胆に解説します。
失敗が起きた後にその原因追究や再発を防止することを主眼に置いた「なぜなぜ分析」と、原因追究や再発防止のみならず次なる失敗を起きる前に想定してそれらを未然に防止することを主眼に置いた「失敗学分析」。
これから失敗学を取り組んでみようという組織の担当者はもちろん、自社がおこなっている「なぜなぜ分析」の点検までできてしまうこの講演を、あなたもぜひ聴講して、失敗の未然防止に本格的に取り組みましょう。

三菱重工における不適合事例の原因と対策

廣岡 秀樹 氏
三菱重工業株式会社
バリューチェーン本部 バリューチェーン革新部 QMS推進グループ 主席部員
廣岡 秀樹 氏 弊社は、エアコンのような量産品から発電プラントのような大型の製品まで多種多様の製品群を持つコングロマリット企業であり、全社に失敗学を展開するのは非常に困難であった。しかし、事業が違っても上位概念化された失敗のワナは共通で役に立つことを理解させるために、ワナをマンガ化して分かりやすくして、全社への浸透を図っている。今回は、どこの製品でも陥りやすいワナのいくつかを失敗学の適用前と適用後のBefore/Afterとそれを使った水平展開の事例を紹介致します。

住友電工における今までの原因分析結果と失敗学の分析結果との比較

粟飯原 勝行 氏
住友電気工業株式会社
生産技術本部 品質管理部 主幹
粟飯原 勝行 氏 弊社は、モビリティ・エネルギー・コミュニケーションの3事業領域に、これまで培ってきた「つなぐ、つたえる技術」を礎とする「自動車」「情報通信」「エレクトロニクス」「環境エネルギー」「産業素材」分野における製品・サービスをグローバルに提供しております。
弊社では、これまで労働安全災害や顧客クレームの撲滅を目指してきましたが、未然防止を含め効果的に対策しきれない案件に苦慮している中で、2017年にご講演頂いた濱口先生の「失敗学」に出会いました。その考え方を学び、活用することで前述の状況を打開できる可能性がある、との思いから、全社的に「(失敗学を)使える人を増やす」取り組みを進めております。
まだ取り組み途上ですが、今回、その活動内容や分析の事例などをご紹介させていただきます。具体的な分析事例を挙げて、従来の分析方法との比較を通じて、失敗学のメリットやその違いなどをお示しできればと考えております。

東芝インフラシステムズ(株)での失敗学取り組みの実際

荒井 信治 氏
東芝インフラシステムズ株式会社
品質企画部・エキスパート
荒井 信治 氏 当社は、東芝グループの注力分野である社会インフラ事業を担っており、上下水道・受配電・道路・通信・放送・気象・物流・鉄道等の様々な分野へ製品を提供しています。当社の製品で一度事故が発生すると社会的影響は大きく、事故を繰り返さないために全社レベルで事故事例の横展開活動を継続実施していましたが、異なる事業部門にとっては他部門の失敗は他人事に思えて自分事として捉えるのが難しい状況でした。そのような中、2020年に濱口先生に失敗学を講演いただき、これだ!ということで当社でも取り組みを開始しました。しかしながら、理解したつもりで分析しても従来思考から抜け出せなくて上手くいかなかったことから、現在は失敗学研究会を立ち上げて腰を据えた専門家育成を行っています。研究会を実施している中で、上手に分析する工夫や、分析結果を周知する工夫などを実施しておりますので、このような取り組みの実際を紹介させていただきます。

3者とフロアによる総合討論(パネル)

【コーディネーター】濱口 哲也 氏
株式会社濱口企画
代表取締役
濱口 哲也 氏  
B会場

トップが語る「質向上」に向けた取組みと課題

~我が社の品質経営~

セッションの趣旨


品質経営の推進には、トップのリーダーシップ発揮と正しい理解が不可欠であることは言うまでもありません。

本セッションでは、登壇者が経営トップとして、なぜ品質経営やTQM活動が必要なのか、如何に旗振りを行っているのか、それぞれが考えるトップの役割・機能とは何なのか、また、マネージャ層に対する期待等をご紹介をいただきます。
本フォーラムの主参加者層である部・課長(マネージャー)が上記メッセージを受け、明日からの自身の行動に活かしていただくと共に、各社の品質経営、将来計画、TQM推進などにおける問題点とその解決策等を聞くことによって、自社への展開のヒントを得ていただきたいと思います。

こんな方にオススメです!


  1. ①TQM推進部門、製造・生産技術・設計・開発部門、経営層の方
    ※デミング賞、日本品質奨励賞の受審を視野に入れている企業も含みます。
  2. ②以下のような、課題をお持ちの方
    • TQMを導入し、長年継続してきてはいるが、形骸化の感があることは否めず、それを打破する方法を知りたい。
    • “TQMは古い、過去のもの”というイメージがあり、現代でも通用するツールなのかを知りたい。
      また、推進することによる具体的な効果を知りたい。
    • 品質経営と聞くとなにか難解なイメージがあり、全従業員をどうやって一つにまとめているのかが知りたい。
    • デミング賞、日本品質奨励賞へ挑戦するためには、どの程度の活動と成果が必要なのかを知りたい。

『イコールパートナーと評価される開発提案型企業への成長』
をめざしたTQMの推進

小田井 勇樹 氏
株式会社オティックス
代表取締役社長
(2021年度 デミング賞大賞受賞)
小田井 勇樹 氏 当社はローラアーム、ラッシュアジャスタをはじめとするエンジン機能部品を主要製品とした自動車部品メーカーです。『イコールパートナーと評価される開発提案型企業への成長』を目標に、2014年TQM強化宣言を発出し、行動指針「OTICS Way」と経営ビジョン「VISION120」を経営の基本としたTQM活動を推進してきました。デミング賞受賞後、デミング賞大賞挑戦を宣言し、『100年に一度の大変革期』を乗り越えるための基盤をより強固にすることを目的としたTQMの進化におけるしくみの強化・改善活動について紹介いたします。

トヨタ紡織における経営課題達成に向けたTQMの推進

榊原 正己 氏
トヨタ紡織株式会社
TQM推進室 主査
(2021年度 デミング賞受賞(刈谷工場およびユニット生技センター)時、ユニット部品事業本部 本部長)
榊原 正己 氏 当社は、シート、内外装、ユニット部品の3つの領域で事業活動を行う自動車部品メーカーです。CASEに象徴される自動車産業の大変革期を迎え、自動車の電動化シフトや顧客ニーズの変化などの外的環境変化に対し、ユニット部品事業は、その影響を受けやすく、開発力・生技生産力、方針管理と日常管理、人財育成などが追従できず、将来への事業継続に不安を抱えていた。このような状況打破に向けTQMに活路を見出し、2016年TQM本格導入宣言をし、活動した結果、2018年TQM奨励賞を、2021年刈谷工場およびユニット生技センターでデミング賞を受賞した。今回は、抱える経営課題達成に向け、デミング賞への挑戦を通じて実践した「方針管理と日常管理」の事例を紹介するとともに、TQM実施レベルや組織能力の立ち位置を定量的に把握し、向上につなげたしくみとその活動も合わせて、紹介する。

モノづくりの人財育成と製造現場のイノベーション

~全員保全化による設備保全と品質改善~

児玉 幸三 氏
イビデン株式会社
代表取締役副社長
児玉 幸三 氏 イビデンは創業時からの水力発電・送電網を維持・活用し、時代・事業環境の変化と要求に対応しながら、主事業を変化させ続け今年で創立110年を迎えます。
変化と進化が速い市場環境において、顧客要求を満足し、海外生産の競合に勝つためには、「品質・コスト・技術・対応・顧客サポート」の5つの競争力を高め続けることが大切であり、実現するためにはモノづくりを支える人財育成が重要と考えています。製造現場に携わる方々を製造保全士として育成し、「全員保全化」を進め、単純作業だけではなく、付加価値のある設備と品質の維持・改善活動の業務へ発展させています。
更にQCサークル活動を通じ、全員参加型の活動に進化・活性化させ、データ解析から真の原因解析を行い、不良低減ではなく、モード別の不良ゼロ化を積上げる活動を継続することで、イビデンのモノづくりでイノベーションが実現すると考えています。

3者とフロアによる総合討論(パネル)

【コーディネーター】棟近 雅彦 氏
早稲田大学 理工学術院
教授
棟近 雅彦 氏 本企画セッションでご講演いただく方々の組織は、いずれもTQMを積極的に推進されています。今回のご講演では、特に特徴ある活動に焦点を絞っていただきます。(株)オティックス様には「開発提案型による新しい価値の創造・新商品開発」、トヨタ紡織(株)様には「方針管理・日常管理を中心とした特徴あるTQM活動」、イビデン(株)様には「競争力強化のフレームワーク」について、各トピックでの取り組み内容の詳細をお話しいただきます。その後、視聴者の方々も交えて、質向上に向けて取り組むべき課題は何か、そして日本企業がふたたび質に関して競争優位に立つためには何をすべきかについて討論したいと思います。特に、日本のモノづくりで何をなすべきかについて、トップへのメッセージを発信したいと思います。
C会場

新たな価値創造と利益をもたらすサービスエクセレンス

セッションの趣旨


2021年6月にISO 23592とISO/TS 24082と呼ばれる「サービスエクセレンス規格」が発行され、同年11月にはJISも策定されました。これは、卓越した顧客体験の創出を通じてファンを増やすための優れた組織とサービスづくりに関する標準であり、顧客満足を実現してきた品質管理とサービスマネジメントの次の高みを目指すものです。
組織が「サービスエクレセンス」を獲得することで、エクセレントサービスの設計活動が展開され、ポジティブな感情を伴う顧客体験の提供がなされ、顧客満足を超える「デライト≒喜び・感動」を顧客が感じることができます。そして、この感情は顧客に組織への信頼を抱かせ、リピーター・推奨者として新たな価値創造と利益を組織にもたらす可能性を秘めています。

本セッションでは、サービス業の国際競争力の向上のみならず、製造業が手がけるサービス事業への活用にも期待されるサービスエクセレンスについて、ご参加の皆様と一緒に考えていきます。

こんな方にオススメです!


  1. ①経営者・経営幹部、経営企画部門、品質管理・品質保証部門、アフターマーケット部門の方
    ★サービス産業もちろん、製造業が手掛けるサービス事業への展開に大変有用です。
  2. ②以下のような、課題をお持ちの方
    • サービスエクセレンスとは何か?が知りたい。
    • サービスエクセレンスを自社の活動に取り組みたい。
    • “顧客満足”を超え、“顧客ロイヤルティ”に繋げたい。
    • エクセレントサービスによって“優れた顧客体験”や“カスタマーデライト”を生み出したい。

【概論】サービスエクセレンス最前線

~国際標準化と体系化の最新動向~

水流 聡子 氏
東京大学
総括プロジェクト機構 総括寄付講座 特任教授
水流 聡子 氏 顧客の「再購入(再使用)」や「他者への推奨」といった行動は、当該製品サービスを提供する組織の事業の持続性と発展にとって大変重要です。顧客にそれらの行動を誘導するには、「カスタマーデライト」という感情を生み出す優れた顧客体験が必要となります。すなわち、優れた顧客体験-カスタマーデライト-顧客ロイヤルティ(当該組織や製品サービスへの愛着)」の強化-再購入(再使用)」や「他者への推奨」の誘発、という連鎖を実現させる組織戦略の変革が必要となります。デライトを生みだすことができる組織能力は「サービスエクセレンス」と呼ばれ、ISO23592にサービスエクセレンスにかかる「ピラミッド」「イフェクトチェーン」「モデル」として提示されています。また、優れた顧客体験をもたらすサービスはエクセレントサービスと呼ばれ、その設計活動に関するモデルに加え、共創環境・顧客接点・データ取得点などの重要性が、ISOTS24082に提示されています。
「顧客体験に注目した各企業の創造的チャレンジ」について考えていただけるように、本講演では、サービスエクセレンスという組織能力と、エクセレントサービスの設計活動、という国際標準化の動向・重要なモデル・概念について紹介します。

【事例】サービスを起点とする独自の価値提供

大河原 克彬 氏
ヤマト運輸株式会社
営業開発部
大河原 克彬 氏 1976年に提供を開始し、現在では年間20億個を超える取扱いとなった「宅急便」関連サービスについて、その提供価値をサービス・エクセレンスの観点から紐解いていきます。
商品を拡充する過程において、時代によって大きく変化する利用者のニーズや第一線の現場の声と向き合いながら、商品開発とどのように連動してきたかについてご紹介します。併せて、開発されたサービスを「エクセレントサービス設計規格」に照らし合わせ考察します。
また、サービスラインナップのうち「クール宅急便」について、国際標準化を目指してきた理由をご紹介するとともに、その効果とサービスの規格化に関する意義に触れてまいります。

【手法】サービスエクセレンス実践編
~優れたサービスのデザインと効果的な手法の解説

原 辰徳 氏
東京大学 大学院工学系研究科
人工物工学研究センター 准教授
原 辰徳 氏 セッション要旨にあるISO/TS 24082は、ISO 23592で定められる”卓越した顧客体験の創出”の要素に注目し、その実現に有効な設計プロセスと手法を定めた、日本提案の規格です。実務的に広まった人間中心設計、デザイン思考、一般的なサービスデザインの手法とも共通点がありますが、顧客体験や顧客接点の可視化(カスタマージャーニーマップやタッチポイント)に留まらず、感情面への一層の注目、データポイントの事前の設計、顧客との共創を促進する環境の構築(共創環境の構築)、を取り入れることで、デライト創出を目指します。本講演では、この全体像をお伝えした上で、具体的な手法と事例について紹介します。

3者とフロアによる総合討論(パネル)

【コーディネーター】水流 聡子 氏
東京大学
総括プロジェクト機構 総括寄付講座 特任教授
水流 聡子 氏 まずは、参加者からの質問対応を優先します。
その後、以下について総合討論をいたします。
・規格活用の意義(規制、認証のみならず、企業価値向上の指針として活用)
・ビジネスモデルの観点で、UXへの到達を考察する(例:B2B→B2B2C)
・TC312規格開発の最新動向
- サービスエクセレンス達成のための実践事例 ISO/TR 7179(2023年発行予定)
Service excellence — Practices for achieving service excellence
- ISO/TS 23686 : Service excellence – Measuring service excellence performance (2022年発行予定)
- 新規提案プロジェクト(Implementation)
- 新規提案プロジェクト(Maturity level)
・サービスエクセレンス教育プログラムの紹介
D会場

経営戦略としての働き方改革の実践 Ⅲ

セッションの趣旨


現在、「働き方改革」は大企業だけではなく、中小企業にとっても重要な経営課題の一つとして認知されています。
働く人々が多様で柔軟な働き方を選択するだけでなく、働き方改革をチャンスととらえ、「経営戦略」としての位置付けから、生産性向上や従業員満足度(ES)向上を実現する環境づくりが求められています。

本セッションでは、生産性向上を超えて、顧客価値創造までつなげていくための考え方と取り組み、そのために不可欠な企業文化・風土の醸成まで議論をしていきます。さらに、withコロナ、Afterコロナの中での働き方改革実践のポイントについてもご紹介します。

こんな方にオススメです!


  1. ①TQM、品質保証部門のマネージャー層、人事、経営企画部門の方
  2. ②以下のような、課題をお持ちの方
    • 働き方改革を実現したいが、現状は「時短」のみの取り組みにとどまっている。
      この状況を変えていきたい。
    • 管理部門は、働き方改革の旗を振り始めたが、現場レベルではその実現は難しいと思っている。
    • 我が社は、生産部門の生産性は高いと自己評価しているが、ホワイトカラーの生産性向上活動に役立つ考え方と取り組みを知りたい。
    • ダイバーシティが実現できる風土づくりをしていきたい。

経営戦略としての働き方改革

~ワーク・エンゲージメントと生産性向上を考える~

大塚 万紀子 氏
株式会社ワーク・ライフバランス
取締役・パートナーコンサルタント
大塚 万紀子 氏 ワーク・ライフバランスや働き方改革を残業削減施策だと思っていませんか?ただ「時間を短くする」「仕事とプライベートのバランスを取る」ということではなく、ワークとライフの相乗効果をもたらすことが働き方改革の本質であり、今、多くの企業が経営戦略としての働き方改革に舵を切っています。私たちに求められる成果や品質も変化するなかで、VUCA時代に柔軟に対応できる働き方には何が必要か、ともに働くメンバーのワーク・エンゲージメントを向上するには何がポイントなのかなどについて、本分科会では皆さんと一緒に考えます。リーダーの皆さんが明日からすぐに試せる取組み方法についてもご紹介します。

パナソニック コネクトにおける
カルチャー&マインド改革の取り組み

新家 伸浩 氏
パナソニック コネクト株式会社
執行役員 常務 CHRO
新家 伸浩 氏 パナソニック コネクトは、サプライチェーン・公共サービス・生活インフラ・エンターテイメントなどのお客様の「現場」に貢献するソリューションを提供しています。前身のCNS社が発足して足掛け5年間、カルチャー&マインド改革、ビジネスモデル改革、事業立地改革の3階層の改革に取り組んでまいりました。特に重要と考えるカルチャー&マインド改革は改革のベースと位置づけています。誰もがオープンに意見を交わし正しいことを実行する、世の中の変化に対しての感度を高め最短距離で価値をお客様にお届けする、社員の生きがい働きがいを大事にすることを目指して取り組んできました。その結果、従業員意識調査のスコアは着実にアップするとともに、ビジネス面での改革も成果を上げつつあります。今後もビジネス全体を改革し社会課題の解決を最短距離で実行するために、今後も引き続きカルチャー&マインド改革を継続してまいります。

株式会社SoLaboにおける働き方改革の実践

田原 広一 氏
株式会社SoLabo
代表取締役
田原 広一 氏 2020年からのコロナ禍において、様々な企業がこれまでの働き方からの変革を求められ、変化に対応しきれなかった企業もある中、従業員の在宅勤務・顧客との非対面化を実現しながらも、生産性向上や業績、従業員満足(ES)等の各種目標値を達成してきた内容を紹介します。コロナ前は社員30名規模、現在は56名ほどに増加し、変化に対応しながら成長できた背景をご紹介します。
また、『第1回 日本中小企業大賞』働き方改革賞 優秀賞を受賞した背景について、小規模企業における働き方改革の実践という視点から紹介します。

3者とフロアによる総合討論(パネル)

【コーディネーター】大塚 万紀子 氏
株式会社ワーク・ライフバランス
取締役・パートナーコンサルタント
大塚 万紀子 氏 コロナ禍を経て、チームの在り方や仕事の進め方にも大きな変化が生まれました。従来の社長をトップとしたヒエラルキー型が有効なときもあれば、個々人が自由闊達に自律的に働くフラット型から新しいアイデアが生まれることもあるでしょう。一方で、長年にわたり構築された組織の構造を変容するには大きな力と工夫が必要です。
本総合討論では、新しい働き方や組織づくりに焦点をあて、登壇者が直面した困難・壁や、それをいかにして乗り越えたのかといった苦労話、周囲を巻き込むときに工夫したポイントなどを取り上げ、会場の皆様の意見を聞きながらパネルディスカッションを進めてまいります。
机上の空論にとどまらない、血の通った経験談から学んでいただく機会をご提供しようと考えております。ふるってご参加ください。
E会場

特別セッション

プロジェクトの制約は何か?

~ 人の仕事の質を向上させる「QM7つの規律」~

岸良 裕司 氏
ゴールドラット・ジャパンCEO
アニメーション制作プロデューサー
岸良 裕司 氏
  • プロジェクトの後半になるほど、手戻りとマルチタスクが蔓延し、開発が遅れがちになる
  • プロジェクトのQCDS(品質、コスト、納期、スコープ)が担保されないことがある
  • 現場でいくら頑張っても、プロジェクトが遅れる
さまざまな技術的な取り組みや手法の導入にも関わらず、上記のような問題が解消しないのであれば、その活動は的外れな活動である可能性が高いと言える。この講演では、プロジェクトの真の制約を明らかにし、取り組むことで、目覚ましい成果を出すロジックと事例を紹介する。内容は以下の通り。
  • 的外れなカイゼンが組織にもたらす深刻なダメージ
  • プロジェクトの真のボトルネックとは?
  • 総工数1万人月を超す大規模プロジェクトにおける、劇的な品質改善成果
  • 組織に自律神経ネットワークをインストールし、人の仕事の質を向上させる「QM7つの規律」