開催概要

第119回品質管理シンポジウム

日程

テーマ
経営環境の変化に適応するためのTQMの進化
~基本の最先端な実践とさらなる飛躍~
日 時 2025年6月5日(木)~6月7日(土)
会場
  • 大磯プリンスホテル
    (神奈川県中郡大磯町国府本郷546 TEL:0463-61-1111)
  • ライブ配信
主 催 一般財団法人 日本科学技術連盟
後 援 一般社団法人 日本品質管理学会

趣旨

山田 秀
第119回品質管理シンポジウム
主担当組織委員
慶應義塾大学 教授
山田 秀

TQMの有効性の持続には、経営環境の変化に適応しTQMを進化させる必要があります。第119回QCSのグループディスカッションでは、このTQMの進化を議論します。様々な環境の変化の中で次のaからeを考え、どのようにTQMを変化に適応させ進化させ、具体的な理念、指針、方法として落とし込むことを目指します。

  1. 製品・サービスによる価値の受け手と経済的対価の担い手が一対一対応している場合には、この担い手を顧客として捉えるのが合理的でした。これに対して昨今は、経済的対価の流れと価値の流れが一対一対応しないビジネスモデルで成功しているものが多数あります。TQMの根幹たる顧客満足において、顧客をどのように定義、可視化、共有するかが課題になります。
  2. 経済的側面の優良さだけでなく、環境、従業員、社会貢献など様々な側面の目標をバランスよく考慮し、社会から尊敬される企業を目指す必要があります。例えばSDGsの広まりは、経済的側面のみを強調することなく、多側面を考慮して社会の持続性を確保しようというものです。
  3. 働き方改革という旗印の根幹は、個人により何を重要視するかが異なり、それを尊重することにあります。24時間バリバリ働くことだけが是ではなく、それぞれが望む働き方を実現する仕組みづくりが必要です。

これらの a, b, cが、目指すべき姿に関連する経営環境の変化です。その実現に関する変化として、次も考えます。

  1. 製品・サービスを通した顧客、利害関係者、社会への価値提供のためには、自社や系列企業だけでできることに限りがあるので、多くの関係者の連携が必要なります。品質保証の担い手が自社のみならず多くの関係者との連携によりなされるので、昨日の敵は今日の友ともいうべき状況になります。
  2. 情報技術の発展に伴い。様々なデータが活用できるようになりました。バリューチェーン全体でのデータ連携や、オープンデータ化により各種のデータが活用可能になっています。また生成AIをはじめ、様々な情報技術が開発されています。これらの有効な活用は、顧客を含む社会での価値提供の成否を握ります。

このような経営環境の変化を踏まえ、TQMをどのように進化させたらよいでしょうか?例えば、データやAIの活用は実現手段ですので、標準化、改善などは今までと同じねらいを最先端な方法で実現することになります。また、多くのパートナーと連携しながらすすめる品質保証は、今までにはない新たな考え方、方法の開発が必要になります。サブタイトルの基本の最先端な実践とさらなる飛躍は、このような思いから来ています。品質に関する見識を持つ方々が、膝を突き合わせて議論すればなんらかの方向が見えてきて、具体的な理念、指針、方法として落とし込めると確信しています。これまでのTQMで、変えてはいけないもの、変えるべきものを導きましょう。