ブックタイトル品質管理シンポジウム第100回記念史
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品質管理シンポジウム第100回記念史
100QCSを迎えて東京工業大学名誉教授圓川隆夫QCSとの出会いは、昭和50年代の半ば28QCSあたりだったと記憶しているが、現東大名誉教授の飯塚悦功先生、目白大学教授の高橋武則教授とともに、書記として参加させていただいたことである。TQCもよくわからない状況であったが、温泉につかりながら若き夢を語り合ったことは今も記憶に新しいし、ノミニケーションの場で著名な先生方と会話も出来たこともそれからの財産となった。その後、大学での講座が品質管理ではなく生産管理であったためにしばらく疎遠となったが、飯塚先生の引きもあり再びQCSに時々ではあるが参加するようになったのは平成に変わる1990年代になってからであった。ITが業務の革新に活用されるようになり、またTQCからTQMの名称変更が議論された頃であった。その流れの中で、第59回の「TQCとリエンジアリング」、第64回の「企業の情報化とTQM」で、専門であるオペレーションズマネジメントの立場からTQC, TQMを論じさせていただいたが、品質そのものを対象にしたものではなかった。大学での品質についての研究面でも転機をいただいたのが、2000年頃、当時デンソー会長を務められていた故髙橋朗日本ものづくり・人づくり質革新機構理事長の言葉であった。機構の立ち上げのとき大学に来られ、新商品開発部会長を依頼されたとき、「イタリアのものづくりのようなワクワクする品質とは何か」を研究してほしい、と言われて“ハッ”としたことであった。当然、それを正面に受け入れる実力も展望もなくそれっきりとなってしまった。しかしながら、その言葉は以来ずっと心の中に宿題として頭の中に残ってきた。そのこともあり研究面では3年をかけて世界8ヶ国のCS調査を行い、国の文化によってCS生成メカニズムに違いがあることや、実用的価値を超えて情緒的価値の方がCSを高めるという事実を学術誌に発表することが出来た。しかしながら、あくまで学術的なものに止まりどのようにという実務上の知見とはかけ離れたものであった。丁度その頃、主組織委員を務められたアイシン精機山内康仁相談役から2012年第95回「企業が飛躍するための新商品創造?心ときめく、ワクワクした商品の継続的な提供?」というテーマでの基調講演の依頼を受けた。1年以上発表まで時間があることから、研究で得られた事実を企業の戦略や実務的知見に落とし込むための猛勉強をするつもりで依頼を受けた。そのテーマは、“高品質・高信頼性とイノベーターのジレンマ、そしてワクワク品質の源泉は?”であった。当然これで答えが出せるはずはなく、同時に依頼のあった組織委員の就任で、主担当となった2013年第97回で、「ワクワク品質と安心品質の両立を支える更なる品質力強化を目指して」をテーマとさせていただき、“ものコトづくり”というキーワードのもとに議論を深めたつもりである。しかしながらまだまだ不足ということであろう。そこで今回の100QCSでは、サブテーマにある“これから求められる価値ある品質を考える”を受けて「表の品質力と顧客価値創造の戦略」というタイトルで講演させていただくことになり、そのバックボーンとなる本もこの春、日科技連出版社より上梓させていただいた。この3月で大学の定年を迎えた。これを節目として、今回で終わらずこのテーマを別の角度から突き詰めて行きたい。丁度今、第4次産業革命と呼ばれるすべてのもの・人・サービスをつなぐIoT、あるいは独Industrie 4.0の取り組みが話題を集めている。当然、品質や品質保証のあり様、あり方も変わってくる。そのような流れ、変化を読みつつQCSのテーマとして取り上げたいと考えている。一人相撲に陥ることを戒めつつ、今後も品質を掘り下げて行きたい。50品質管理シンポジウム第100回記念史(50周年)~新たな50年に向けて~