開催実績
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第20回会合
~良品計画 金井顧問、経団連 井上専務理事の講演を実施!
「社会課題の解決を実現する品質経営」の
重要性がディスカッションされる!~
1.第20回開催概要
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今回も、第109回品質管理シンポジウム(2020年12月)にて発出した「大磯令和宣言」、第116回品質管理シンポジウム(2023年12月)での「令和大磯宣言2023」(右図)を受け、その後の日科技連での取り組みや、現状の議論の内容に加え、品質経営(顧客価値創造+組織能力の獲得・向上)に取り組んでいる企業での実践事例を通じて、今後の日本企業が生き残っていくための検討を行った。
継続して本会で議論を進めている「企業の存在価値最大化を目指す品質経営行動」について、良品計画における事例発表、そして経団連が示している成長と分配の好循環を続けるため「FUTURE DESIGN 2040」に関する発表も行われた。
2.経団連会員からのオブザーブ参加
今年度から本会は経団連とのタイアップを進めていることもあり経団連会員企業からのオブザーブ出席を募ったところ、以下の2社からの参加があり、自己紹介が行われた。- (1)カシオ計算機㈱ 開発本部 品質統轄部 ソフト品質保証部長 阿部 貴俊 氏
- (2)㈱前川製作所 取締役 専務執行役員 鳥井原 俊治 氏
3.佐々木委員長、坂根顧問の挨拶
佐々木委員長ならびに坂根顧問から、本会合の趣旨と理念が改めて述べられた。坂根顧問は、「デジタルプラットフォーマーの分野では日本は完全に負けてしまったが、データプラットフォーマーでは、まだまだ日本がこの世界のトップを走る余地が充分ある、これはDX社会においてはどこを見える化するか、それをどのようなアルゴリズムで実現していくか、ということがキーであり、この部分は日本の生産技術力と現場力が活かせる」と説明し、佐々木委員長からは、「経営トップが社会やお客様のニーズは何か、という部分から事業を考えていく、いわゆる日本が得意としてきた経営の良さが世界と戦っていく上の一つの方策になりうる」と強調した。
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4.「企業の存在価値最大化を目指す品質経営行動」
佐々木副委員長から、「企業の存在価値最大化を目指す品質経営行動」の説明を行った。この品質経営行動はサブタイトルとして「価値変化に追従できる品質経営行動の研究」とある通り、本会でも複数回議論して考え方には賛同を得てきたものだが、今後具体化に向け以下の検討が不可欠と位置づけている。(以下、図2点を参照)1) 実際の企業活動としてどんな組織で何をアウトプットとして経営判断に結び付けているか、を示す
2) それを一般解に落とし込み、どのような手順で行動するか、を提示したい
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5.「企業の存在価値最大化を目指す品質経営行動」ご発表および討論
事例発表:良品計画における「品質経営行動に対する具体化」
株式会社良品計画 顧問 金井 政明 氏
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「消費社会へのアンチテーゼ」として誕生した無印良品は資本の論理が優先される時代の中で、人間の論理に視点を当てて「感じ良い暮らし」や「これからの生活様式の在り方」を探求し、弱いもの、小さいもの、はかないものなどに対する眼差し、体制や権力、マジョリティ であることに、つねに疑いの目を持ち続けることを大切にしながら、人と社会の「役に立つ」ということ。「社員が株主であり、経営者であり、プレイヤーである」といった人本主義経営により、経済、環境、文化のバランスのとれた「感じ良い暮らしと社会」の実現に向けて、それぞれの地域に巻き込まれながら超小売業に挑戦している姿が紹介された。
多くの質問が出され意見交換が行われたが、その一部を以下に紹介したい。
- 日本では、「議論をしないこと」が問題。みんなが保身ばかりを考え決定できない。特に何かを変革する時は、少しの犠牲も出さずに何かを進めることは出来ないわけで、そういった決定をすることがリーダーの役割ではないのかと感じる。
- 人口がたとえ半分になったとしても、活力があり衣食住の足りた社会構造を持った街づくりをしたい。誰もが健康で不自由のない「感じ良く暮らせる」社会をデザインしていきたい。
- 良品計画における「営利企業と社会の公益性を両立させる事業モデル」は参考になった。
- 公益とは環境や地域社会、社員などを重視する、といった企業の意志であり、公益に役立つ事業は結果的に資本の論理を満たす「公益人本主義経営」に共感した。
6.FUTURE DESIGN2040 「成長と分配の好循環」
~公正・公平で持続可能な社会を目指して~
一般社団法人日本経済団体連合会 専務理事 井上 隆 氏
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経団連の提言のタイトルである「FUTURE DESIGN 2040」は、 高齢者数がほぼピークを迎える2040年を見据え、資源のない島国で、少子高齢化や人口減が進むという大きな制約条件に直面する日本が「成長と分配の好循環」を続けるための道筋を示したものである。
発表を受け、質疑応答と意見交換も実施されたが、自動運転に関する法規制、中小企業への振興策、経済合理性だけで物事を推し進めてきた弊害、日本の良き価値観・感性の醸成の必要性、本会で検討を進めている品質経営の活用など、様々な観点から有益な議論が展開された。
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経団「FUTURE DESIGN 2040」(経団連webサイトより)
7.第20回のまとめ
最後に、今回の議論を踏まえて今後の品質経営のあり方についてのまとめがあった。- 良品計画 金井顧問には、企業の存在理由、それを根本から問い直すべきだろうという色々な問題提起をいただいた。公益人本主義という企業の在り方、これがすべてに帰結していくと感じた。特に思ったのが「感じのいい暮らし方」そういう温かい感性をいかに企業経営に持ち込むかということがこれからの大きな課題であると思う。企業価値向上を単なる事業の効率、収益の向上、社員やお客様の満足度という視点で見ていたが、そういう経済合理性だけを追い求めるのではなく、やはり企業の存在自身が社会から認められ、こんな会社がもっとたくさんあると良い、と言ってもらえるような会社づくりをしていくべきだと思う。大変素晴らしい思想であった。
- 経団連の井上専務理事からは、相変わらず日本の課題というのはクリアだがこれをどう乗り越えていくかということに関しての方法論、企業として真剣に考えなければいけない事である。特に、疑問に思いながらこの会の中でも取り上げられていないのが、人手が足りず企業が苦しんでいる割に、働き場がなくお金がないワーキングプアと言われる人が多い。どこでそのミスマッチが起き、原因は何であろうかと、そこに気が付いて直せればかなり充実した中間層がまた復活すると思う。そこについてもこれから皆様方に積極的なご提案をいただき、色々な方に少しでも役立つ情報発信ができるようにしていきたい。
- どの業界もDXの先頭を走った企業が勝者になる。勝者を目指して頑張ろうと言いたい。
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(報告・まとめ:品質経営創造センター 安隨 正巳)