開催実績
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第19回会合
~「企業の存在価値最大化を目指す品質経営行動」について、
コニカミノルタ、ブリヂストン2社の
価値創造プロセスに関する
実践事例発表とディスカッションが行われる!~
1.第19回開催概要
今回も、第109回品質管理シンポジウム(2019年12月)にて発出した「大磯令和宣言」、第116回品質管理シンポジウム(2023年12月)での「令和大磯宣言2023」(右図)を受け、その後の日科技連での取り組みや、現状の議論の内容に加え、品質経営(顧客価値創造+組織能力の獲得・向上)に取り組んでいる企業での実践事例を通じて、今後の日本企業が生き残っていくための検討を行った。継続して議論を進めている「企業の存在価値最大化を目指す品質経営行動」にもとづき、コニカミノルタとブリヂストンの2社の具体的な取り組み事例を軸に、多様な視点から活発なディスカッションが行われた。
2.運営委員長の交替と新メンバー自己紹介
今回から、運営委員長に佐々木眞一氏(日科技連 理事長)が就任し、坂根正弘前委員長が顧問に就任した。また、今回から新たに本会のメンバーとなった以下の方から自己紹介が行れた。
- (1) 旭化成株式会社 上席執行役員 品質保証部長 仲二見 裕美 氏
- (2) コニカミノルタ株式会社 執行役 品質本部長 上村 裕之 氏
- (3) ダイハツ工業株式会社 代表取締役副社長 星加 宏昌 氏
- (1) ピアソン・ジャパン株式会社 代表取締役 寺西 裕 氏
- (2) オブザーブ参加:株式会社pluszero 代表取締役会長 小代 義行 氏
3.佐々木委員長、坂根顧問の挨拶
佐々木新委員長ならびに坂根顧問から、本会合の趣旨と理念が改めて述べられた。坂根顧問は、「企業価値向上経営」とは限られた資源の中で顧客価値を創造し、収益を最大化するものであり、成果を社会・株主・取引先・社員に分配することが求められると説明し、佐々木委員長からは、「ビジネスモデルで先行し、現場力で勝負する」ことで日本企業が競争優位を保っていける、という本会の発足の理念を強調した。4.「企業の存在価値最大化を目指す品質経営行動」
佐々木副委員長から、「企業の存在価値最大化を目指す品質経営行動」の説明を行った。この品質経営行動はサブタイトルとして「価値変化に追従できる品質経営行動の研究」とある通り、本会でも複数回議論して考え方には賛同を得てきたものだが、今後具体化に向け以下の検討が不可欠と位置づけている。(以下、図2点を参照)1) 実際の企業活動としてどんな組織で何をアウトプットとして経営判断に結び付けているか、を示す
2) それを一般解に落とし込み、どのような手順で行動するか、を提示する
5.「企業の存在価値最大化を目指す品質経営行動」ご発表および討論
事例発表:コニカミノルタにおける「品質経営行動に対する具体化」
コニカミノルタ株式会社 執行役 品質本部長 上村 裕之 氏
「品質経営行動プロセス」に照らし合わせた企業の事例として、コニカミノルタ株式会社 執行役 品質本部長 上村 裕之から事例発表があった。発表の構成は次の通り。- コニカミノルタの紹介
- 中期経営計画による事業の選択と集中の取り組み
- 価値創造プロセスと持続的成長に向けた取り組み
6.「コト価値に対応する組織能力の獲得・向上」のケーススタディ
発表:ブリヂストンのDXを支えるソリューション品質管理の取り組み
~タイヤの内圧を遠隔モニタリングするデジタルソリューションを含む~
株式会社ブリヂストン 常務役員 井上 祥 氏
株式会社ブリヂストン CQO・品質部門 首席主幹 西崎 友康 氏
名古屋大学 准教授 森崎 修司 氏
株式会社ブリヂストンの井上祥常務と西崎友康首席主幹が、同社のデジタルソリューションによる品質管理の取り組みについて発表した。
- 持続的な価値創造に向けた考え方
- デジタルソリューション品質管理事例ご紹介
発表の最後に以下のまとめが示され、当該分野のベストプラクティクスと呼ぶにふさわしい事例発表であった。
- ブリヂストンのDXを支えるソリューション品質管理
- 品質管理の根っこは製造業における品質管理と一緒と考え、今までのTQMをぶれずに推進
- DXにおける品質スコープを定義、ソリューション品質=顧客経験価値
- モノの品質からの拡張、ソリューション品質を定義
- デジタルのソリューション品質管理事例のご紹介 TPP Tirematics
- DXにおける品質管理活動を実践、製造業TQMをベースにQMSを拡張する
7.第19回のまとめ
最後に、今回の議論を踏まえて今後の品質経営のあり方について、未来志向の品質経営には、決して安売りをせず、品質保証の範囲が多岐にかつ広範囲に及ぶため、100%の品質保証は難しいながらも、社会的信頼を得るための取り組みが重要との見解が共有された。また、顧客価値創造は多角的であり、メーカー視点に加えエンドユーザーや社会的視点での価値向上も求められることも指摘された。
(報告・まとめ:品質経営創造センター 安隨 正巳)