企業価値向上経営懇話会(旧:品質経営懇話会)

開催実績

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第18回会合

~「企業の存在価値最大化を目指す品質経営行動」について、
DMG森精機からの価値創造プロセスに関する実践事例発表と
ディスカッションが行われる!~

1.第18回開催概要

第18回会合は、2023年11月30日(木)に神奈川県大磯町の大磯プリンスホテルとオンラインでの同時開催として実施した。
今回も、第109回品質管理シンポジウム(2019年12月)にて発出した「大磯令和宣言」を受けて、日科技連「品質経営研究会」(委員長:佐々木眞一日科技連理事長)で検討を進めている「企業の存在価値最大化を目指す品質経営行動」にもとづき、DMG森精機の事例発表とそれを受けた質疑応答を中心に議論を進めていった。また、本懇話会の傘下の活動として「組織能力一般化ワーキング(以下、WG)」が設置されているが、研究内容の経過報告と討論も併せて実施された。

2.新メンバー自己紹介

冒頭に、今回から新たに本会のメンバーとなった以下の方から自己紹介が行れた。
(以下は欠席の新メンバーも含む)
  • (1) 経済産業省 製造産業局 局長 伊吹 英明 氏
  • (2) 東レ株式会社 上席執行役員 品質保証本部長 畑 愼一郎 氏
  • (3) ダイハツ工業株式会社 取締役 コーポレート統括本部 本部長 枝元 俊典 氏
メンバー一覧はこちら

また、新メンバーのため、坂根委員長から、本会の成り立ちと今後の問題意識について説明があった。
2017年に積水化学工業・大久保尚武氏、日科技連佐々木眞一理事長と共に、企業トップの「品質」への関心低下を憂慮し、「経営者のネットワークを作る」と目的で2017年10月に創設した。2020年6月に第一次活動報告書をまとめたが、この頃から「品質経営」というよりも、我々は「企業価値向上」「企業存在価値向上」を目指すべき、ということが議論を通じて明確になり、本会の名称も「企業価値向上経営懇話会」に改称した経緯がある。
トップダウンが非常に重要で、それなくして「ビジネスモデルで先行して、現場力勝負で勝てることはできない。

3.「企業の存在価値最大化を目指す品質経営行動」

佐々木副委員長から、「企業の存在価値最大化を目指す品質経営行動」の説明を行った。この品質経営行動はサブタイトルとして「価値変化に追従できる品質経営行動の研究」とある通り、本会でも複数回議論して考え方には賛同を得てきたものだが、今後具体化に向け以下の検討が不可欠と位置づけている。(以下、図2点を参照)

1)実際の企業活動としてどんな組織で何をアウトプットとして経営判断に結び付けているか、を示す
2)それを一般解に落とし込み、どのような手順で行動するか、を提示する

4. 「企業の存在価値最大化を目指す品質経営行動」の事例発表とディスカッション

(1) 事例発表
「DMG森精機における価値創造プロセス
 ~企業価値最大化を目指す品質経営行動~」

  1. DMG森精機について
  2. 価値創造プロセス 「品質経営行動」の取り組みに照らして
  3. DMG森精機を取り巻く環境(① ②)
  4. DMG森精機のビジネスモデル、中期経営計画(③ ⑥)
品質経営の6ステップを踏まえ、DMG森精機における品質経営行動についてその取り組みについて発表であった。
特に印象的だったのは、以下の点である。
  • マシニング・トランスフォーメーション(MX)と称し、
    「工程集約 ⇒ 自動化 ⇒ GX」をDXによって行う取り組み、を強化している。
  • 「TULIP」と呼ばれる製造現場プラットフォーム(クラウドベースの製造業支援)の構築と活用を進めている。
  • 「ものづくり」の殻を破る 垂直統合型ビジネスモデル=職人が実際に売る「職商人」
  • 廉価販売・短納期受注からの脱却
  • 中期経営計画の達成に向けて、TQM を活用
    部門横断の分科会で、全社目標を各部署にブレイクダウン、
    QCサークルは、ブレイクダウンされた目標に結び付くテーマを選定

5.「組織能力一般化WG」 研究内容の経過報告と討論

「組織能力一般化WG 」のリーダーを務める米岡敏郎氏(P&Q コンサルティング 代表、元 トヨタ自動車九州)から、2023年6月1日に発足したWGの研究内容の中間報告が行われた。主な内容は次の通り。
【研究会の目標】
企業におけるコト価値創造などの革新戦略及び基盤戦略の実行の為に必要な組織能力の獲得行動に関し、具体的な組織能力の中身の設定事例・活動事例・獲得事例を収集し、各企業で活用できる組織能力の定義、評価指標などの見える化モデルの確立と組織能力向上のためのしくみづくり、システム化モデルの確立を目指す。
現段階では、メンバー各社の「品質経営推進キャンバス(ストーリー)」と「品質経営推進キャンバス(事例収集、内容とつくり方)」のプラクティクスを収集ししており、内容の整合・向上を実施中で、今後各社の光っているところ、優れているところを抽出、評価、集約して、一般解化を進めていく、との説明があった。

事例をこのWGは、企業におけるコト価値創造などの革新戦略及び基盤戦略の実行のために必要な組織能力の獲得行動に関し、具体的な組織能力の中身の設定事例・活動事例・獲得事例を収集し、各企業で活用できる組織能力の定義、評価指標などの見える化モデルの確立と組織能力向上のためのしくみづくり、システム化モデルの確立を目指すものである。
各企業での「組織能力獲得の活動の道しるべ」を作り、 組織能力の獲得活動の啓蒙、普及への一助になりうる。大変意義深い取組みにメンバーからも多くの質問が出され、今後の活動に大いなる期待コメントが寄せられていた。

6.その他(品質国際会議(ICQ2025-Tokyo))

最後に、日科技連 専務理時の小野寺から品質管理国際会議(ICQ2025-Tokyo;2025年9月開催予定)へのご協力のお願いがあった。ICQは品質に関する一大イベントであり、日本での約10年ぶりの開催である。日科技連としても今後の品質経営の普及に活かせる場だと考えており、本懇話会メンバーの皆様には、ICQ2025-Tokyoの組織委員会メンバーに就任いただき、お力添えを賜りたい、、とのお願いが述べられた。
(報告・まとめ:品質経営創造センター 安隨 正巳)