開催実績
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第17回会合
~組織能力の一般解化に向け、
「組織能力一般化ワーキンググループ」設置が承認される!~
1.第17回開催概要
第17回会合は、2023年6月1日(木)に神奈川県大磯町の大磯プリンスホテルとオンラインでの同時開催として実施した。今回は、第109回品質管理シンポジウム(2019年12月)にて発出した「大磯令和宣言」を受けて、日科技連「品質経営研究会」(委員長:佐々木眞一日科技連理事長)で検討を進めている「企業の存在価値最大化を目指す品質経営行動」にもとづき、東レの事例発表とそれを受けた質疑応答を中心に議論を進めていった。
また、本懇話会の傘下の活動として「組織能力一般化ワーキング(以下、WG)」の設置が承認され、研究を行っていくこととなった。
2.新メンバー自己紹介
冒頭に今回から新たに本会のメンバーとなった以下の方から自己紹介が行れた。- (1) 三菱電機株式会社 常務執行役 中井 良和 氏
(代理出席)執行役員 品質改革推進本部副本部長 島田 達也 氏 - (2) 株式会社良品計画 代表取締役会長金井 政明 氏
また、新メンバーのため、坂根委員長から、本会の成り立ちと今後の問題意識について説明があった。
2017年に積水化学工業・大久保尚武氏、日科技連佐々木眞一理事長と共に、企業トップの「品質」への関心低下を憂慮し、「経営者のネットワークを作る」と目的で2017年10月に創設した。2020年6月に第一次活動報告書をまとめたが、この頃から「品質経営」というよりも、我々は「企業価値向上」「企業存在価値向上」を目指すべき、ということが議論を通じて明確になり、本会の名称も「企業価値向上経営懇話会」に改称した経緯がある。
3.「企業の存在価値最大化を目指す品質経営行動」
佐々木副委員長から、「企業の存在価値最大化を目指す品質経営行動」の説明を行った。この品質経営行動はサブタイトルとして「価値変化に追従できる品質経営行動の研究」とある通り、本会でも複数回議論して考え方には賛同を得てきたものだが、今後具体化に向け以下の検討が不可欠と位置づけている。(以下、図2点を参照)1) 実際の企業活動としてどんな組織で何をアウトプットとして経営判断に結び付けているか、を示す
2) それを一般解に落とし込み、どのような手順で行動するか、を提示する
4.「企業の存在価値最大化を目指す品質経営行動」の事例発表とディスカッション
(1)事例発表「東レグループにおける価値創造プロセスについて
- “東レ理念”の実践としての企業価値創造 –」
「品質経営行動プロセス」に照らし合わせた企業の事例として、東レ株式会社 常任顧問(前副社長) 出口 雄吉氏から事例発表があった。発表の構成は次の通り。
- 東レの概要
- 東レ理念と東レグループサステナビリティ・ビジョン
- 素材事業のビジネスモデルと価値創造プロセス
- 価値創造を支える組織・機能
「素材ビジネスは本質的にソリューションビジネス」と言われる出口顧問の説明の中でも最も印象に残ったのが、素材事業のビジネスモデルと価値創造プロセスの説明の中で語った、以下「東レの強み5項目」である。
①「究極追及」「技術癒合」による新技術創出力
② 素材を起点とするソリューション提案力
③ 組織の総合力発揮による研究・技術開発力
④ 高品質な製品の安定供給力
⑤ グローバルなバリューチェーン構築力
自社の強みをその会社の人間が正しく認識するのが簡単そうで難しい中、メンバーとの意見交換では、その取り組みに感嘆の声があがるほど、大変多くの示唆に富む発表であった。
「強みだけをいきなり議論しても出てこない」と語る出口顧問に対し、自分たちが「こういう価値を見出したい」という目的意識のもとで、自分たちの組織能力を見直してみると強みや弱みが見えてくる。経営会議で事業に対する責任を持った役員が、自分のやりたいことをしっかり考え我が身を振り返った時に「ここは強い、ここは弱い」というのが出てくるはず。それを考えると東レさんの理にかなったアプローチである、というコメントも出されていた。
また、ファーストリテイリング社との「ヒートテック」の共創のエピソードの紹介もあり、まさにこの懇話会の議論のキーワードの一つである「共創」の見本となる事例であった。
5.「組織能力一般化WG」 実施計画の説明
「組織能力一般化WG 」のリーダーを務める米岡敏郎氏(P&Q コンサルティング 代表、元 トヨタ自動車九州)から、「WG実施計画書」をもとに2023年6月1日に発足するWGの説明が行われた。主な内容は次の通り。- WG 発足の趣旨・目的
・品質経営研究会、他のチームとの関係性 - WGの目標 アウトプットの予定内容
- メンバー 構成
- 運営方法
- 具体的な進め方 内容
- 日程計画
各企業での「組織能力獲得の活動の道しるべ」を作り、 組織能力の獲得活動の啓蒙、普及への一助になりうる。大変意義深い取組みにメンバーからも多くの質問が出され、今後の活動に大いなる期待コメントが寄せられていた。
6.その他(品質国際会議(ICQ2025-Tokyo))
最後に、日科技連 専務理時の小野寺から品質国際会議(ICQ2025-Tokyo)へのご協力のお願いがあった。ICQは品質に関する一大イベントであり、日本での10年ぶりの開催である。日科技連としても今後の品質経営の普及に活かせる場だと考えており、本懇話会メンバーの皆様には、ICQ2025-Tokyoの組織委員会メンバーとしてご協力いただきたい、とのお願いが述べられた。
(報告・まとめ:品質経営創造センター 安隨 正巳)